今週(2022年9月5日週)末、ビットコインとイーサリアムが大きく反発した。北海道大学の花野直樹さんは、これに「数日から数週間の短期でロング(買い)を入れてもいいかもしれません」と見ているが、ビットコインとイーサリアムのどちらに投資するか――。注目したい。
一方、明治大学の城正人さんは、含み益で原点の1万円をようやく超えた。「そろそろトレンド転換の予兆をつかめてくる頃合いではないか」と、今後は「イーサリアムの動向を注視し、前向きに投資を検討します」としている。東京大学の迫嵩明さんはお休み。
BTCとETHが大幅反発! どちらを買う?(北海道大学 花野直樹さん)
今週(9月5日)のトレードもポジションを持たずに終わりました。ただ、今週はいつもと違うことに、この記事を書いている9日(金)15時現在、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の価格が大きく反発しています。
これからヨーロッパや米ニューヨーク市場が開いて、どうなるかわかりませんが、値段が全戻しでもしない限り、数日から数週間の短期でロング(買い)を入れてもいいかもしれません。
そう思った理由を、これから説明したいと思います。まず2回目の記事(2022年6月17日付)でふれたトレンド転換の判断基準にしている200MA(200日移動平均線)についてですが、BTCは1時間足、ETHは1時間、4時間足が200MAをしっかり超えています。
また、最近の仮想通貨はアメリカ株価指数に連動して動いているのですが、アメリカ株価指数もトレンド転換の兆しが見えています。
ここで指数のトレンドの判断基準にしている指標も紹介したいと思います。それはVIX(恐怖指数)と、それをVIX先物で割ったVIX/VXFWAの2つです。これらの日足チャートに、さらにMACD(マックディー)というインジケータを表示させMACDの売買サインを確認します。
見方としてはVIXが上昇すると株価は下落、VIXが下落すると株価は上昇という関係にあります。またVIX指数とVIX/VXFWAはそこまで値動きに違いはないのですが、多少VIX/VXFWA指数のほうが、先行性があるように思います。
下図がVIX/VXFWAです。ぜひ、米NASDAQや米S&Pと照らし合わせて、いかにトレンド転換の先行指標として機能しているか確かめてみてください。
では、押し目で買うとしたら何を買うかについてですが、自分が観察しているのはBTC、ETHの2通貨ですので、その二つを比べてみたいと思います。
上記のとおり、BTCは1時間足の200MAを超えていないのに対し、ETHは4時間足も超えています。またEHTは下値を切り上げて上昇しているため、9日夜から来週初めぐらいまでの値動きをよく観察し下値が堅いようなら、ETHを買っていきたいと思います。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月9日現在 9754円
◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
9月5日週の仮想通貨市場は、6日に下落した後の9日に高騰しましたね。そして12日週になると、13日に下落している様子が見られます。8月のCPI(米消費者物価指数)が前月比で0.1%上昇。前年比で8.3%上昇といった結果でしたため、リスク回避売りがあったものと思われます。
ビットコインのチャートを日足で見ると、8月半ばをピークとしたダブルボトムとなるかと推測されましたが、2万2500ドルあたりを越えられず、下落しました。
VIX(恐怖指数)とMACD(マックディー)を活用した分析は根拠がわかりやすく、今後の上昇を期待できそうですね。また、イーサリアムはThe Margeが目前であり、値上がりが見込まれているものの、アップデートの遅延やエラーなどで価格変動する恐れもあるので、ご注意ください。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!
イーサリアムの動向を注視!(明治大学 城正人さん)
ドル円相場は1ドル=145円を目前にするまでの大幅な円安が続きました。保有のポジションもいく分かこの円安の恩恵を受けていて、正直うれしい誤算といったところ。
今後、債券市場に集結していた「金」の行き場はいったいどこになるのか。ドル高基調もかなり進行したことですし、そろそろトレンド転換の予兆をつかめてくる頃合いではないかと考えます。
今後の戦略としてはMergeを経たイーサリアムの動向を注視し、前向きに投資を検討します。
◆ 各国の動向について
先週はビットコインの低コスト、高速な取引を実現するライトニングネットワークについて解説してきました。しかし、実際に現実の決済で利用するとなると各国の規制、税制を認識しながら利用する必要があります。
もちろん全ての決済を国家が追って、納税を求めてくることは現実的ではありませんが、ブロックチェーンは良くも悪くも取引履歴がすべて公開されます。まだ法整備が万全とは言えない新しい分野ですから、きちんと申告しておくにこしたことはないでしょう。
今回は各国の状況を、ざっくりご紹介します(判断に迷った際などは税理士に問い合わせることを強くオススメします)。
・日本
原則雑所得扱い、総合課税(累進課税で最大55%)
コインのもつ特性により支払手段・金融資産に分類して規制。
世界に先駆けて法律を制定。
・米国
1年以下の短期保有分は累進課税
1年以上の長期間保有すると最大20%の課税
具体的な法律はなく、あくまで1つの「資産」として取り扱う。
CBDC(中央銀行発行型のステーブルコイン)について言及あるなど、今後に期待。
・中国
禁止
国家管理のもとでの電子決済には意欲
・フランス
仮想通貨同士のトレードに対しては非課税、現金時に課税
個人投資家は原則税率30%
・シンガポール
キャピタルゲイン(売買差益)への課税はなし
レバレッジ規制など利用者保護に関する規制を検討中
以上が各国の動向です。日本は世界に先駆けて法整備を進めていたにもかかわらず、現在世界水準で見るとかなり厳しい対応をとっています。
もっとも日本と同じく、米国や中国のように中央銀行をもち、自国通貨の価値を毀損するわけにはいかない国はほかと比べ、より規制が厳しめといえるかもしれません。
今後、仮想通貨による決済が主流となるかどうかは、各国の規制動向に委ねられているといっても過言ではありません。せめて日本でも累進課税ではなく、株式のように申告分離課税にして、納税の作業を簡単にしてほしいものです。
【今週の取引】
なし
保有資産
ビットコイン 0.00001枚 評価額3065円
現金 7010円
前週からの損益 プラス287円
9月9日現在 1万75円
◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
現在、アメリカはインフレ対策として年内にあと2回の利上げが見込まれていますが、8月のCPI(米消費者物価指数)は前月比0.1%と物価上昇している様子が見られています。とはいえ、どこかのタイミングで反転することは予想されますので、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策には注意したいところです。
また税率についてですが、こうして各国を比較すると日本の税率は際立って高いことを再認識できますね。FXのように約20%の分離課税であればいいのですが、現時点で仮想通貨の利益は総合課税ですので、最高税率は55%。加えて利益確定のタイミングに「仮想通貨同士の交換」が含まれていることも大きいように思えます。
もし、仮想通貨トレーダーが課税所得を抑えるには、「損失の出ているポジションを決済し、仮想通貨同士で損益を通算する」といった工夫が必要でしょう。
2021年に引き続き、出場します! 投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!
Twitter: https://twitter.com/dennoah_jo
◆ 取引はお休みしました(東京大学 迫嵩明さん)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月9日現在 1万円
学生投資連合USIC代表
高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。 金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。
学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/
◆ ◆ アドバイザーのプロフィール
フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。
大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール
・元本は1万円。
・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。
・レバレッジはかけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。
・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。
・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。
学生投資連合USIC
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/