女性の活躍、女性の活用、社会的な女性の地位向上など、さまざまな表現がなされてきたが、日本の女性は本当に活躍している、活躍できるポジションに付けているのだろうか。
これまでにも筆者は、この問題は何度か取り上げたが、今回は内閣府の男女共同参画局が発表している資料により、女性議員の状況をまとめてみた。
女性委員比率高い省庁...「審議会」は消費者庁、「専門委員会」は法務省
現在、日本に女性議員は101人の国会議員と4687人の地方議会議員がいる。女性の国会議院は衆議院に45人(9.7%)、参議院に56人(23.0%)で、国会議員全体に占める割合は14.3%でしかない。
国会議員が自らの腕を振るうことのできる場の一つに、各省庁は設置している審議会や専門委員会がある。
第5次男女共同参画基本計画では、国の審議会等委員注及び専門委員等に占める女性の割合について、2025年までに40%以上、60%以下とする成果目標を設定している。
8月31日に発表された「国の審議会等における女性委員の参画状況調べ」によると、審議会が委員1898人のうち女性は806人で、その割合は42.5%、専門委員等7775人のうち女性は2574人で、33.1%であり、審議会では目標の40%以上を達成しているが、委員会等では未達となっている。
審議会で女性委員の比率が高いのは、消費者庁の55.6%、次いで金融庁と文部科学省の46.0%で、低いのは法務省の34.4%、次いで防衛省の37.1%となっている。
一方、専門委員会等では法務省の53.0%がトップで、次いで消費者庁の39.1%となっている。なお、外務省と防衛省には専門委員会が設置されていない=表1。
一概には言えないものの、消費者問題や教育問題を取り扱う消費者庁や文科省で、女性委員の登用が多いような印象を受ける。
女性議員比率高い「都道府県議会」、「市区議会」、「町村議会」はどこか?
ひるがえって、地方議会に目を向けると、8月22日に発表された「都道府県別全国女性の参画マップ」によると、都道府県議会には306人の女性議員がおり、その比率は11.8%となっている。 都道府県議会で女性議員の比率が高いのは、東京都の31.7%で、次いで京都府の20.0%、神奈川県の18.3%となっている。一方、比率が低いのは、山梨県の2.9%、次いで熊本県の4.3%、大分県の4.7%の順だ=表2。
市区議会には、3263人の女性議員がおり、その比率は17.5%となっている。比率が高いのは、東京都の30.8%、次いで埼玉県の24.1%、神奈川県の23.0%となっている。一方、比率が低いのは、長崎県の8.2%、熊本県の9.4%、大分県の9.5%となっている=表3。
都道府県議会、市区議会ともに上位10に入るのは東京都と神奈川県のみで、下位10に入るのは熊本県と大分県となっている。
町村議会には1260人の女性議員がおり、その比率は11.7%となっている。比率が高いのは大阪府の30.6%、神奈川県の25.9%、埼玉県の19.4%となっている。一方、比率が低いのは青森県の4.9%、山梨県の5.2%、島根県の6.5%となっている=表4。
ちなみに、都道府県議会、市区議会、町村議会ともに上位10に入るのは東京都と神奈川県のみとなっている。
都道府県の審議会に占める女性の割合は、委員総数3万8960人に対して、女性委員は1万3003人で33.4%、市区町村では委員総数59万7274人に対して、女性委員は16万5087人で27.6%となっている。
女性議員数では、国会が14.3%、都道府県議会が11.8%、市区議会が17.5%、町村議会11.7%となっており、20%を超えている議会ははく、女性議員が数の上ではまだまだ少ないことは明らかだ。
一方、女性の審議会委員数では、国会が42.5%、都道府県議会が33.4%、市区町村議会が27.6%と、国会が一番高い。しかし、地方議会では規模が小さくなるほど、女性委員の割合が減少しており、女性の力が十分に反映される組織となっていないことは明らかだ。
女性の地位向上、活躍の場を増やすのであれば、民間に先んじて、議会での女性活躍推進に注力すべきだろう。