「ばらまき」の財源は国の借金...繰り返される後世へのツケ
これだけではない。
対策本部では補助制度の延長に加え、物価高の影響が大きい低所得世帯に対する5万円給付の実施も決まった。これも具体案が浮上したのは直前になってからで「付け焼き刃」の印象がぬぐえない。
背景には安倍晋三元首相の国葬や、旧統一教会問題をめぐる対応に追われ、岸田政権の支持率が急降下する中、政策的な意思決定が後手後手になっている事情がある。
ある与党関係者は「政府・自民党に対する世論の逆風が強まる中、首相は物価高対策で国民受けを狙うしか手がなかったのだろう」と推測する。
しかし、一時の人気取りのために講じられる「ばらまき」の財源は国の借金だ。後世にツケを押しつける悪癖が再び繰り返されたかたちだ。
指導力に疑問符がつく岸田政権。その悪癖を直さない限り、国民の信頼を取り戻すのは難しそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)