主要資格の受験申込者数、過去10年で最多に
「週刊ダイヤモンド」(2022年9月17・24日号)の特集は、「40歳50歳60歳からの儲かる資格・今から始める副業・役立つ学び直し」。中高年がゼロから始めるノウハウをまとめている。
2021年度、主要資格の受験申込者数が過去10年で最多の250万人超になった。コロナ禍による就業不安やテレワークで生じた時間の有効活用から、資格・検定への注目が高まったと見られる。特に申込者数の伸びが著しいのが、宅地建物取引士や中小企業診断士など「中難易度」とされる資格だという。
法律系資格の登竜門、行政書士試験は注目だ。難易度は宅地建物取引士の少し上あたりで、合格率は10%台。行政書士のメリットは実務経験なしで開業できることだという。最近はコロナ禍によって、飲食店の売買が盛んに行われていたのに加え、補助金の申請などで行政書士の仕事が激増した影響もあり、右肩下がりだった受験者数が増加傾向になる。
さらに上位の法律系資格を目指すなら司法書士だが、こちらは最難関資格のうちの1つとされ、合格率は3~5%。民法や不動産登記法、会社法、商法など11の法律科目があり、学習時間は最低でも3000時間が必要といわれている。法改正で、2025年4月から相続登記が義務化されるので、司法書士の仕事が増えると予想され、有望な資格になりそうだという。
この4年間で応募者数が2.6倍に増えた「ITパスポート」も注目されている。実務経験がない中高年でも、チャレンジしやすい資格を取ることで「ITに強い」とアピールしたり、副業につなげたりすることは可能だ。
続けてITエンジニアの登竜門である「基本情報技術者」にステップアップするのは、実務未経験者にはハードルが高い。
副業目的なら「ITパスポート」を取得して基礎知識を学んだうえで、プログラミングスクールでウェブ制作など実践的なスキルを身につければ、スムーズに副業につなげることも可能だという。経験を数カ月積むと、時給換算で2000~2500円の報酬を得られるというから、隙間時間の活用にはうってつけだ。
◆「週末副業」とは? コンテンツ起業家とは?
経営コンサルタントの藤井孝一さんが勧めるのは、最少リスクの「週末副業」だ。
たとえば、外資系金融機関で働きながら、日本酒と料理を楽しむ会を開いている女性の例を紹介している。料理人や酒造業者などを講師に呼び、レクチャーしてもらったうえで、お酒と料理を提供する。このほかに、見学ツアーや飲食店へのアドバイスなどで、月10万円ほどの収入があるそうだ。
また、ビジネスパーソンが業務経験を生かしてコンサルタントや専門家になる方法について、メンタルチャージISC研究所代表取締役の岡本文宏さんがアドバイスしている。
コンテンツ起業家として活躍するには、「講師」「筆者」「個別コンサルティング」の3つのビジネスエンジンが必要だという。まずは、セミナー講師になることを優先。次に、雑誌などで執筆する筆者に。最後に個別コンサルティングを目指す。この順番を必ず守ってほしいという。
ナルミナス・キャリア代表の並木秀陸さんが、イチ押しするのは宅地建物取引士だ。
オンラインによるビジネスチャンスが拡大していることを理由に挙げている。不動産売買や貸借などの仲介業務を行う場合、宅地建物取引士は対面で重要事項説明を行うことが義務付けられていたが、今後はオンラインによる非対面での重要事項説明が可能になる。
これにより、宅地建物取引士は、オンライン環境さえあれば、どこでも不動産仲介業務ができるようになる。
特集では、このほか面接だけで入れる東京大学の大学院など、お得な名門大学院リストやMBAの後悔しない選び方をまとめている。