「一生結婚しない」若者が過去最高、30代独身の性未経験者4~5割、マッチングアプリで知り合って結婚するカップル増えているが、「セックスレス夫婦」が6割......。
「現代恋愛事情」に関する衝撃の政府調査がまとまった。2022年9月9日に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「第16回出生動向調査」がそれだ。
政府関係者は「未婚や晩婚化、少子化に拍車をかける」と憂慮するが、インターネット上では「わかるなあ」「私もそうだ」という共感の声があがっている。
交際相手ゼロの未婚男性7割、女性6割
出生動向調査は5年ごとに結婚や出産への意識を調べるために行われるが、今回は新型コロナの影響を受けて1年延期され、2021年6月に実施された。独身者1万4011人と、初婚同士の夫婦9401組が対象で、有効回答率は独身55.9%、夫婦72.7%だった。
独身の男女に結婚の意思を聞くと、調査を始めた1982年時点では「一生結婚するつもりはない」と答えた男性は2.3%、女性は4.1%とごく少数だったが、今回は男性17.3%(前回比5.3ポイント増)、女性は14.6%(同6.6ポイント増)と過去最高を記録した。それぞれ6~7人に1人の割合だ=図表1参照。
結婚したくない理由については、「行動や生き方が自由」「家族を養う責任がなく、気楽」と独身生活の利点をあげる人が多かった。特に、24歳以下では「結婚する積極的な動機がない」ことがあげられ、25歳以上では「適当な相手がいない」ことが最大の理由になるが、「異性とうまくつき合えない」「今は趣味を楽しみたい」と答える人も多くなる。
独身者が恋人と交際する機会も2005年をピークにどんどん減っている。今回、異性の交際相手がまったくいない人は男性72.2%、女性64.2%だった。「とくに異性との交際を望んでいない」と答える人が増えており、男性では未婚者全体の33.5%、女性では34.1%に達している。こうしたこともあって、恋人として異性と交際した経験がない未婚者は男性で4割(40.0%)、女性で約3割(34.9%)もいた=図表2参照。
独身者に「セックス体験」(性交経験)の有無を聞いたのが図表3のグラフだ。これをみると、男女とも2002年~2010年ごろをピークに性交経験が減っており、30歳代男性で36.4%、30歳代女性で44.4%が「未経験」であることがわかる。
男性は女性の「経済力」、女性は男性の「容姿」を考慮
それでは、独身者はどんな生き方を望んでいるのか。特に「女性の理想のライフコース」を聞くと、男女とも「仕事と子育ての両立」がトップになった。興味深いのは、男性で39.4%、女性で34.0%と、男性のほうが支持する割合が高いことだ。男性では、パートナーに「専業主婦」を望む割合(6.8%)も急落しており、女性の人生について価値観が様変わりしていることを示した。
こうした変化もあって、結婚相手に求める条件にも変化が表れた。男性に聞くと、女性の「経済力」を考慮する人が前回(2015年)より6.3ポイント多い48.2%となった。一方、女性も男性の「家事・育児の能力や姿勢」に考慮する人が12.5ポイント多い70.2%と大幅に上がった。
また、女性は相手の「容姿」を考慮する傾向が増えたのも特徴。1992年調査の67.6%から今回81.3%(13.7ポイント増)に上昇した。その分、相手との「共通の趣味」が減っている(6.7ポイント減)。男性のほうは「容姿」と「共通の趣味」にほとんど変化がない。
さて、既婚者にも大きな変化が表れている。
夫婦が知り合ったきっかけを聞くと、ネット交流サービス(SNS)やマッチングアプリなど、「ネット」と答えた夫婦が13.6%と、前回(6.0%)より倍増した。2002年調査では、「職場や仕事で」「友人・兄弟姉妹を通じて」の合計が6割以上あったが、今回半数を割った。職場や友人を介した「リアル」な出会いは減少傾向を続けており、SNSやアプリなどを経由した出会いが今後の主流になる可能性がある=図表4参照。
また、夫婦間のセックスも淡白になっているようだ。
妊娠と出産に関するデータの参考にするために、妻が49歳以下の夫婦に「過去1か月以内に夫婦間でセックス(性交)があったかどうか」を聞くと、「あった」が37.9%、「なかった」が58.5%だった=図表5参照。一般に、1か月以上性交がない場合を「セックスレス」と定義される。セックスレス夫婦が6割近くいるわけだ。
また、追加の出生予定がある夫婦に限って同じ質問をすると、「セックスレス」の割合は減少して46.1%になった。しかし、30歳~39歳でも5割以上になる。一方、出産が厳しい年齢になる40歳~49歳になると、36.7%を一気に減ってくる。切実な思いが伝わっている数字だ=再び、図表5参照。
「本音は結婚したいが、好きな人を幸せにできない」
今回の調査について、ヤフーニュースのヤフコメ欄ではさまざまな意見が寄せられている。
まず、「結婚する気がない人が過去最高」については、「自分もそうだ」と共感の声が――。
「気楽に生きたい私は、絶対に結婚したくないですね。やりたくもない家事や育児を毎日する生活なんてストレスが倍増しそうだし、パートナーや子供にも一生尽くせる自信がある人だけが結婚すればよいと思います。飽きっぽくて冷めやすくて、子供が苦手な私には結婚向いていない」
「本音は結婚したいけど、どうしてもお金を考える。付き合うのもお金かかるけど、好きな人を幸せにするためや子供できた時の事を考えると、お金がいると思う。家族に苦労かけたくないと思うと、現状では結婚できない。さらに子供の時にお金で苦労すると、なおさら自分と同じ思いをさせたくないと思ってしまう。(中略)好きな人だからこそ幸せになって欲しい」
「自分の場合は、男としての需要はなさそうなので、この先も結婚できないであろうという前提で人生設計を立てています。30数年生きてきて、女性との嫌な思い出はたくさんあるけど、いい思い出は皆無です。ここまで来るともう腹をくくっています」
「社内で気になる人ができても、昔と違って容姿を誉めるだけで、コンプラで普通に懲罰動議にされるから、今の人は本当に難しいと思う。異性と会話は最低限にして、喋りかけられたら答えるだけにしている。ギスギスし過ぎた難しい世の中だなと感じる」
「テレビ、スマホ、インターネット、ゲームの普及で、ひとりで楽に楽しめることを覚えてしまった。今や少しの待ち時間、スキマ時間でさえ自分のために時間を使う。家族関係さえ、テレビを挟まなければ成り立たない。生まれながらにその環境にいる私たちが、恋愛、結婚、子育てに自分の時間を使うということがもう無理なのだ。たとえ結婚して子どもをもうけたとしても、自分の時間を犠牲にすることができない」
「週末婚、別居婚がスタンダードになれば結婚率も上がる」
セックスをしない独身者が増えているという指摘に対しては――。
「Z世代ですが、確かにそういう願望がまったくありません。3回結婚した親からは『そういうのは本能なんだ』と言われましたが、性欲はあまりないですし、理解できませんでした。親子でもこういう価値観はかなり違うのだなと思いました」
こうした若い世代が増えることに対して、「もう結婚観を変えたら」というアドバイスめいた意見も多かった。
「もはや金があろうが無かろうが、結婚する理由は子供が欲しい場合くらいしかない。あとは週末婚とか別居婚がもっとスタンダードになれば、結婚率も上がるかもしれない。お互い働いて、別々の時間に帰宅して、結局一緒にいられるのは休みの日だけなら、子供がいないのなら別に従来の結婚の形をとらなくてもいい。(中略)時代が変わっているのだから、結婚観もそれに合わせて変えるべきだと思う」
「既婚ですが、特に子供を持つと本当にお金がかかります。高校生くらいになると、予備校などの習い事もバカになりません。結婚もそうでしょうが、子供を持つことは、相当覚悟が必要です。特に高齢でお子さんを望む方は、将来設計をきちんとしてないと、相当痛い目に遭いますよ、とはハッキリお伝えしておきます。それを考えると、独身で一生いること、事実婚などの選択も増えると思いますし、それでもよいと思います」
「結婚は縁だから、こればかりは仕方ないな。私も我ながら素敵な男性と結婚できたなと思うけど、旦那と付き合う前に付き合っていた人はひどいモラハラ男で、こんなのと結婚するくらいなら一生独身でよいと思っていた。(中略)少子化を解決したいなら無理に結婚させるより、結婚している夫婦にもう1人子供を産んでもらうほうが簡単よ。我が家は共働きで子供1人。育児に時間がなかなか取れないことや、教育費の面で不安(中略)だけど、その辺サポートしてくれるなら子供がもっと欲しい」
「何万回何億回人生を繰り返しても今の相手と結婚する」
一方、「結婚ってこんなにいいよ」とエールを送る人も多かった。
「自分も若い頃一生結婚するつもりありませんでした。それはそれで楽しい人生が送れたと思います。ただどうしても結婚したいと思う人が偶然現れて結婚に至りました。そんな今も楽しいです。結婚したいと思う人と出会えたら結婚すればよい、それだけのことのような気がします。昔のように他人がとやかく言うことではないですね」
「結婚するのが普通とか、家庭を持ってこそ一人前とか、もうそんな時代じゃないからね。愛する人と結婚して、愛する家族と共に歩む人生は間違いなく素晴らしいよ。けど、独身を貫いて、自由気まま思うままに生きていくことも同じくらい素晴らしいと思う。(中略)(自分は)本来なら後者、お一人様が向いていると思う。もし嫁(妻)と出会っていなかったら、一生独身の人生を堪能していただろうな。出会ってくれる限りは、何万回何億回人生を繰り返しても今の相手と一緒になるけどね」
こうした意見に対してはこんな反応が寄せられた。
「素敵です!」
「こういう意見って幸せ自慢と叩く人いるけど、率先してバンバン出して欲しいです。結婚にネガティブな情報多すぎて。幸せな気分になれる話聞きたい」
「知り合った夫とはチャット仲間でした」
現代ならではというべきか、マッチングアプリやSNSでの出会いが増えていることに対しては、「私もそうだ」という体験談が多く寄せられた。
「知り合った夫とはチャット仲間でした。(中略)知り合ったきっかけを聞くと驚かれました。『あったこともない人に個人的な話をするなんて』と言う人もいましたが、他人だからこそ話せることってあるんですよね。(中略)WiFiでスマホやインターネットを見ている便利な今からは想像もつかない時代ですが、思い出すと懐かしいです」
「自分も友達からメールのみを紹介されて付き合ったコトがあります。なんだか、サクッと付き合っちゃいました。コロナが風邪レベルになったら、合コンとかで出会えて楽しいだろうな~って、既婚で合コンに行くコトもないけど(笑)」
「まさに私自身が...出会い系サイトで夫と出会い今に至ります。9歳の歳の差のある夫婦ですが...。今でも仲が良く、周りから羨ましいと言われます。昔は、世話焼きおばさんみたいな人がいて、結婚適齢期になるとお見合い話を親にされたとか...。今ではあり得ない出会いの形ですね。どちらの出会い方でも、他人同士だから結婚してみないと見えない色々なことがあります。それを乗り越えて行けるかは、2人次第ですね」
(福田和郎)