「家の応接間やパソコン、スマホが映画館に!」
毎月定額で映画やテレビドラマ、アニメなどを見放題で視聴できる動画配信サービスが世界的に人気を集めている。いったい、どのサービスの人気が高いのか。
モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年9月6日、「動画配信サービスの利用動向調査」を発表した。
それによると、動画配信サービスを利用したことがある人は7割を超えている。意外にも「満足度」が高いからといって、長く見続けるわけでもないようなのだ。
人気ダントツ1位「YouTube Premium」に疑問が...
MMD研究所の調査は、全国の15歳~69歳の男女10000人が対象だ。
まず、有料・無料を問わずに動画配信サービスを利用したことがあるか聞くと、「利用経験がある」と回答した人は70.1%となり、うち現在利用している人は94.7%となった。
現在利用しているサービスを聞くと、ダントツに多いのが「YouTube/YouTube Premium」(47.7%)となり、次いで「Amazon Prime Video」(23.7%)、「Netflix」(10.6%)、「Hulu」(2.9%)、「U‐NEXT」(2.6%)、「GYAO!」(2.2%)、「auスマートパスプレミアム」(2.2%)と続いた=図表1参照。
それにしても、「YouTube/YouTube Premium」が圧倒的な1位になったのはなぜか。そもそも「YouTube」は無料だが、「YouTube Premium」は有料のサービスだ。その代わり、動画再生中に広告に邪魔されることがなくなり、動画をダウンロードしてオフライン環境でも見られるという特典がある。ほかのサービスがほとんど有料なのに、無料サービスを一緒にしたのはどういうわけか。
MMD研究所の調査担当者に聞くと、
「YouTubeの無料サービスと有料サービスをはっきり区別しなかったため、一緒に統計に入ってしまいました。かなりの部分が無料ユーザーからの回答と思われます」
とのことであった。
解約理由1位「思ったより利用しなかった」
次に、動画配信サービス利用経験者に、無料トライアルを利用したことがあるか聞くと、62.0%が「ある」と回答した。そして、無料トライアル経験者のうちを51.8%が有料サービスに移行していた=図表2参照。
どこが魅力で有料サービスを契約するようになったのだろうか。理由を聞くと(複数回答可)、「最初から有料で利用するつもりだった」(71.7%)が最も多く、次いで「観たい作品がたくさんあった」(33.9%)、「コストパフォーマンスが良いと思った」(26.2%)、「料金が安いと感じた」(24.6%)と続いた=図表3参照。
一方、「解約した」人も30.9%いたが、何が不満だったのだろうか。その結果(複数回答)は、「思ったより利用しなかった」(35.0%)が一番多く、「コストパフォーマンスが悪いと思った」(26.3%)、「有料で利用する気はもともとなかったら」(22.8%)、「観たい作品を見終わってしまった」(22.3%)と続いた=図表4参照。
独占配信がウリ「U-NEXT」、家族で楽しめるアマプラ
さらに、最近ニュースなどで話題の5つのサービス、「Amazon Prime Video」「Netflix」「Hulu」「U-NEXT」「Disney+」の利用者から「満足度」と「1年後も利用し続けたいか」を聞くと、興味深い結果が出た。
まず、各サービスの利用者に「とても満足」と「満足」を合わせて「満足している」と回答した人を比較すると、「満足度」の1位は「U-NEXT」(78.0%)となった。それから、2位「Hulu」(75.0%)、3位「Netflix」(73.0%)、4位「Amazon Prime Video」(71.0%)、5位「Disney+」(70.0%)となった=図表5参照。
ところが、「1年後も継続して利用したいか」と聞くと、順番が変わった。「とても利用し続けたい」と「利用し続けたい」を合わせて「利用し続けたい」と回答した人は「Amazon Prime Video」と「Netflix」(ともに81.0%)が同率1位となり、以下、3位「U-NEXT」(78.0%)、4位「Hulu」(75.0%)、5位「Disney+」(74.0%)となったのだ=図表6参照。
「満足度」で1位の「U-NEXT」が「1年後も継続して利用したいか」では3位に後退。代わりに、「満足度」4位の「Amazon Prime Video」と同3位の「Netflix」が「1年後も継続して利用したいか」では1位に躍り出た。
いったいどういうわけか。再びMMD研究所の調査担当者に聞くと、こう説明した。
「あくまで個人的な感想ですが、満足度1位の『U-NEXT』は海外の人気ドラマ、特に韓国ドラマの独占配信が多い傾向があるので、ファンにとっては魅力なのでしょう。ただ、料金がやや高めなので、好きなドラマを見終わった人にとっては、長く契約するとコストパフォーマンスがよくないのかもしれません。
一方、たとえば1年後も継続して利用したい1位になった『Amazon Prime Video』は、契約の代表者である父以外に娘の私を含めて家族全員がアカウントを共有でき、各自が好きな時に見られる特典があります。また、父が好きなドラマ、私が好きなアニメと、作品のジャンルもかなり豊富です。
そうした、サービスごとの値段や得意な作品ジャンル、アカウント共有の人数などの違いがランキングの差に表れていると思われます」
調査は2022年8月5日~8月7日、全国の15歳~69歳の男女10000人にインターネットを通じてアンケートした。そのうちAmazon Prime Video、Netflix、Hulu、U-NEXT、Disney+の利用者各100人ずつに集中的に聞いた。
(福田和郎)