ビットコイン相場が一時2万ドルを割って大きく崩れた。きっかけは、米ジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言だ。米国はインフレ抑制のため、利上げが継続される。
明治大学の城正人さんは、これに「今、ビットコインは奈落の底に落ちるか否かの瀬戸際」とみており、トレードには慎重なようす。北海道大学の花野直樹さんも「(ビットコイン相場が)上に行くにも下に行くにも、かなり激しい動きが予想されます」と、動こうにも動けないようすがうかがえる。
アノマリーどおり、「9月相場は荒れる」のか――。
虎視眈々と「買い場」を狙う(北海道大学 花野直樹さん)
今週(8月29日週)のトレードも、ポジションを持ちませんでした。
先週の米ジャクソンホール会議で、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言をきっかけに、下落した株価につられてビットコインも大きく下落した後、この1週間は1万9500~2万500ドルをレンジにあまり動きの出ない相場でした。
今週もたくさん重要な経済指標があり、アメリカ経済はまだまだ強いということを証明するような数字が出てきています。この記事は米雇用統計の発表前に書いているので、その後の値動きはまだわからないのですが、9月1日(木)までの段階ではインフレ抑制のため、利上げが継続されるということが経済指標からもわかると思います。
今後の仮想通貨のトレンドはというと、まだまだ下落していくと考えています。しかし単純に売っておけばいいというわけでもなさそうです。
今週のニュースでは、レバレッジ比率が過去と比べてもかなり大きいという話題が出ています。これはビットコインなどの仮想通貨を現物で保有している割合に比べて、レバレッジをかけたポジションのほうが大きいということです。レバレッジをかけたポジションは値動きが大きくなるとロスカットなどが発生するため、それらを巻き込んでさらにボラティリティが激しくなるということを意味しています。
そして、2日(金)には注目の米雇用統計の発表が控えているので、上に行くにも下に行くにもかなり激しい動きが予想されます。自分のプライベートで使っているレバレッジをかけたほうの口座も、ずうっとショート(売り)をもっていたのですが、米雇用統計を控え、ポジションを閉じました。また来週からもCPI(消費者物価指数)やFOMC(連邦公開市場委員会)が控えているため、それらのイベントを通過するまでは無理にリスクをとる必要はないと考えました。
9月は例年、株価のパフォーマンスが悪いというアノマリー(説明しきれない変な、異質な市場の動き・事象のこと)もあり、今後ポジションをとるなら9月の相場が荒れるイベントをすべて乗りきってからだと考えているので、焦って行動することなく、虎視眈々と買い場を狙っていきたいです。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月2日現在 9754円
◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
ここ数日間で、相場にまた動きが見られましたね。先日の米ジャクソンホール会議以降に仮想通貨は下落し、さらに9月6日には8月のISM非製造業景気指数も発表され、その影響で再び下落しました。ドル円は7日には143円を超えている一方、ビットコインは約1万9800ドルから1万8800ドルへ下落しています。
今後もアメリカの動きで仮想通貨の下落は考えられますが、仮想通貨はすでに底打ち感があるという見方もできるでしょう。
今年中にあと2回の金利上昇が織り込まれている状況で、現在(9月7日)のビットコイン価格が約1万8800ドルです。これから何かマイナス材料が出ても、短期的な影響はあるものの、長期的な大きい影響は少ないとも考えられます。
ただし、前回止まった1万7800ドル付近を割った際には、注意が必要でしょう。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!