ラガルド総裁の「マイナス成長にならない」見通しは甘すぎる?
同欄では、みずほ証券のチーフマーケットエコノミストの上野泰也氏も、
「ECB理事会内では現在、タカ派が圧倒的に優位になっている。景気が後退するとしてもインフレ抑制をまず実現しようとする路線に、ECBは乗っている。(中略)次回以降も標準形の0.25%ポイントを上回る利上げが続きそうな情勢。中銀預金金利(今回の利上げ後で0.75%)は年内に1.5%ないしそれ以上に達すると見込まれる。ユーロ圏の中立金利の水準は不明確だが、だいたい1~2%とされているので、その中間点に早い段階で達することになりそうである」
と、利上げが急ピッチで進むと予測した。
一方、同欄では日本経済新聞社上級論説委員・編集委員の菅野幹雄記者はラガルド総裁の強い決意に注目した。
「ラガルド総裁の記者会見を興味深く聞きました。1999年のユーロ導入以来、初の大幅利上げで強調されたのが、物価上昇を目標の『2%』に戻す『決意(determination))という言葉でした。今回の0.75%利上げが『違う見方があったが、全会一致で決定』というのも印象的でした」
と指摘しつつ、
「天然ガスや電力など、ロシア禁輸で供給制約が生じたエネルギー価格の高騰が9%を超す欧州インフレの特殊事情。とはいえ、これから数回の利上げが続くと示唆しながら、マイナス成長にはならないという見通しには、甘すぎるという疑念は拭えません。『我々は、インフレ期待は抑えられるが、エネルギー価格は抑えられない』。思わず本音が出ました」
と、やや皮肉を込めた。