「やっぱりお店の人の丁寧な説明を受けたい」「安い、簡単、待ち時間なしの3拍子でお得」
2021年3月にNTTドコモの「ahamo(アハモ)」、KDDI(au)の「povo(ポヴォ)」、ソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」と、携帯電話大手3社が鳴り物入りでオンライン専用の料金プランを始めて1年半がたった。
では、いったいどれだけオンラインで申し込む人がいるのだろうか。モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年8月31日、「通信契約のチャネル別調査」を発表した。
それによると、「オンライン派」は4人に1人だ。これは、多いのか、少ないのか? また、「携帯ショップ派」と比べたメリット、デメリットとは?
ショップ派「安心できる」「説明がわかりやすい」
携帯電話を使用する全国の18歳~79歳の男女1万人が対象となった今回の調査ではまず、メインで利用する通信会社の契約場所・契約方法を聞くと、路面店の携帯ショップ(28.7%)が最も多かった。次いで、通信会社の公式Webサイト(25.0%)、家電量販店(11.4%)、街の携帯ショップ(11.3%)、ショッピングモール内の携帯ショップ(9.3%)と続いた=図表1参照。
全体の4分の3を占める「携帯ショップ派」の人に、携帯ショップで契約した理由を聞くと(複数回答可)、「店舗で契約した方が安心できたから」(35.8%)が最も多く、次いで「対面の説明で契約内容が分かりやすくなったから」(22.8%)、「当日中に契約完了したかったから」(19.6%)となった=図表2参照。
また、「店舗スタッフが親身になってくれたから」(11.2%)、「自分で情報収集などをするのが面倒だったから」(7.8%)なども上位に入った=再び、図表2参照。最初からこのプランがいいという考えがあるというより、「とりあえずショップの店員にお任せ」という傾向がみられる。
オンライン派「手続き簡単」「端末を安く買える」
一方、「オンライン派」の理由は(複数回答可)、「手続きが簡単だったから」(33.4%)が最も多く、次いで「自分のタイミングで契約ができたから」(26.8%)、「自分のペースで検討できたから」(23.6%)、「店舗などのサポートは必要なかったから」(23.6%)の順となった=図表3参照。
こちらは、「スマートフォン端末が安く買えたから」(18.4%)、「オンラインで実施しているキャンペーンのほうがお得だったから」(17.4%)、「待ち時間がなかったから」(15.6%)、「店舗で契約するより料金が安くなったから」(15.2%)などが上位に入り、「ショップ派」よりもお得感に満ちた傾向がみられる=再び、図表3参照。
もともと料金プランに関して豊富な知識があり、スマホやパソコン操作のスキルが高ければ、オンラインで契約したほうがよいということだろうか。
オンライン派の不安「契約が完了したの?」
さて、「ショップ派」と「オンライン派」、それぞれに契約の際に困ったことを聞くと――。
ショップ派では59.4%が「困ったことはない」と回答。一方、オンライン派では「困ったことはない」人は72.8%に達し、ここでもオンライン派の満足度が高いようだ。
それでも、それぞれの困ったことを聞くと(複数回答可)、ショップ派では「手続きから契約完了までに時間がかかった」(45.8%)が最も多く、次いで「手続きの案内に入るまでの待ち時間が長かった」(27.6%)、「自分の意向に沿わないプランやオプションを勧められた」(16.3%)、「説明がわかりづらかった」(14.8%)と続いた=図表4参照。
一方、オンライン派の困ったことは(複数回答可)、「契約が完了しているか不安だった」(36.0%)が最も多く、次いで「自分で調べるのが手間だった」(25.7%)、「端末を実際に見ることができなかった」(25.0%)、「契約した内容が自分に合っているか不安だった」(17.6%)、「不明な点が出た際の問問い合わせ窓口がつながりにくかった」(16.9%)と続いた=図表5参照。
何かと有利にみえる「オンライン派」にも弱点があるようだ。
調査は2022年7月13日~7月15日、全国の18歳~79歳の男女1万人にインターネットで聞いた。また、その中から直近に携帯ショップで契約した500人と、通信会社の公式WEBサイトで契約した500人の計1000人に重点的に聞いた。
(福田和郎)