「物価安定回復に向けた意思を日本銀行が強く示すべき」
さて、この急激な円安局面で日本銀行はどう動くのか。
「物価高を抑えるために日本銀行は強いメッセージを出すべきだ」と訴えるのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。
木内氏はリポート「住民税非課税世帯5万円給付の経済効果と課題」(9月7日付)のなかで、「143円台までの円安進行によって、日本銀行の役割がより重要になった」として、こう述べている。
「賃金上昇期待が限られる中、物価高が長期化するとの懸念を個人が強めると、消費が大きく抑制されるリスクが高まる。この点から、物価高が長期化するとの懸念を和らげることも、経済の安定維持の観点からは重要だ。それは、本来金融政策が担うべき領域だろう」
「金融政策を通じて、さらなる物価上昇を食い止め、個人の物価上昇率見通しが一段と高まることを防ぐ、というメッセージを中央銀行が送ることが求められるのではないか。米国で行われているような急速な金融引き締め策を日本で実施することは現実的ではないが、物価の安定回復に向けた意思を日本銀行が改めて示すことが、経済の安定維持には必要だろう」