ひと月に4円も下落...「為替介入が検討されても...」
日本経済新聞オンライン(9月7日付)「円が対ドルで急落、一時143円台半ばに」という記事につくThink欄の「ひと口解説」コーナーでは、第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣氏は、
「今月下旬のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控える中では、さらにドル高が進むことには警戒が必要ですね。ただ一方で、米国の長短金利差などから類推するに、来年にかけては米国経済はかなり減速しそうですし、商品市況ピークアウトでインフレ率も来年春ごろには落ち着きそうです。
さらに日本の側面から見ても、商品市況ピークアウトで貿易赤字もピークアウトの可能性ありますし、現日本銀行よりタカ派シフトと予想される日本銀行新執行部の候補も年内に見えてきそうです。ということで、個人的には年内にドル高ピークアウトを期待しています」
と、来年4月に任期を終える黒田東彦日本銀行総裁の後任人事に期待を寄せた。
同欄では、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏も、
「円安ドル高は一時143.08円まで進行した。今年のドル安値(113.48円)との差は30円近く。年間値幅は10円前後の年が近年は多いので、一気に3年分の相場変動である。これは明らかに急激な変動であり、今月に入ってからだけで4円程度も動いているので、G7やG20の合意で容認されているスムージングオペ(相場の過剰な変動を均すための介入)が検討されてもおかしくない」
と、円安に静観の日本銀行の姿勢を疑問視しつつ、
「ここで問題は、日本の通貨当局が単独で円買いドル売り介入に動くことを米財務省が容認(黙認)するか、そして、仮に介入を実施しても効果がどの程度持続するか。自信が持てないとすれば、これまで通り、財政政策による円安デメリットへの対応が主柱だろう」
と政府の対応を求めた。