トラス新首相で英国どうなる? 「鉄の女サッチャー」再来どころか「風見鶏」、「バラマキでインフレ加速」、「国民支持10%台」...新聞報道読み解く

英国はまた、新たな首相を探すことになるのか?

プーチン大統領が引き起こしたエネルギー危機が英国経済を直撃している(ロシア大統領府公式サイトより)
プーチン大統領が引き起こしたエネルギー危機が英国経済を直撃している(ロシア大統領府公式サイトより)

   日本経済新聞に掲載された英ファイナンシャル・タイムズ前編集長ライオネル・バーバー氏のコメントも辛口だ。

「トラス氏は経済が混乱するさなか、政権を握る。米金融大手ゴールドマン・サックスはエネルギー価格の高騰と労働市場にひっ迫を背景に、英国のインフレ率は22%に高まるかもしれないと推測する。この冬には数百万人が『燃料貧乏』に陥る。暖房と食事のどちらかにお金を使うのか選ばざるを得なくなる」

   こうした政治課題は乗り越えられるのだろうか。バーバー氏は懐疑的な見方を示している。

「サッチャー流と異なるのは、減税による財政の穴を多額の借り入れで埋める点だ。党首選で破ったスナク氏は『英国のクレジットカードを限度まで使う』とやゆした。トラス氏は3年以内の返済を約束する。外国の投資家が英国債を購入しなければどうなるのか。トラス氏の政策が頓挫し、金融市場が動揺すれば、政権は崩壊する。英国はまた、新たな首相を探すことになる」

   欧州の中心国、英国経済が失速すれば欧州全体に波及するし、世界経済のさらなる後退に直結する。まずはトラス氏が1週間以内に提案するという「英国経済再生策」に注目したい。

(福田和郎)

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