トラス新首相で英国どうなる? 「鉄の女サッチャー」再来どころか「風見鶏」、「バラマキでインフレ加速」、「国民支持10%台」...新聞報道読み解く

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アンチ「意識高い系」をウリに...保守強硬派

英国行政機関が集まるロンドン・ダウニング街
英国行政機関が集まるロンドン・ダウニング街

   ところで、トラス氏はどんな人物なのだろうか。

   毎日新聞「トラス氏、どんな人? 『意識高い系』に反対、過去に不倫疑惑も」によると、強気の一方、のし上がるためには変節もいとわない人物らしい。

「(党員集会で)特にストレートな物言いで訴えたのは、保守党の伝統的価値観の擁護だ。欧米では現在、ジェンダーや人種を巡る差別や不公正に高い意識を持つウオーク(woke)との言葉が急速に広まっている。(中略)日本語の『意識高い系』に似ており、これが党首選でも話題になった。
トランスジェンダーの人のためのトイレ男女共用化や、『母親』を『出産する人』に言い換えることなどを主張する動きだが、トラス氏はこれに異を唱え、『反ウオーク』を貫く。
『女性といえば女性のことだ。私は男女別々の空間を支持し、女性の権利を守る』。トラス氏がそう演説する度、会場から大きな拍手が起きた。(中略)保守層の心理に訴えるこうした姿勢も支持拡大の一因とみられる」
生活危機に陥ったロンドンの住宅街
生活危機に陥ったロンドンの住宅街

   読売新聞「トラス氏、学生時代に過激演説」によると、「変節」の経歴は学生時代からだ。

「父は大学の数学教授。政治的には左派で、手厚い社会福祉を重視する労働党支持者だった。看護師だった母も反核団体『核軍縮キャンペーン』の活動に参加するリベラル派で、幼少のトラス氏は反核デモにかり出されてサッチャー首相の辞任要求を叫んだという。今では(中略)筋金入りの保守派だが、根底にはそうした生い立ちへの反動がありそうだ」
「オックスフォード大時代の友人らは、口をそろえてトラス氏を『野心家』と呼ぶ。当時から政治家志向で、少数派中道政党『自由民主党』の学生代表を務め、演説でマリファナ合法化や君主制廃止論を唱えて物議を醸したこともある」

   トラス氏は、キャメロン政権時代はEU残留派だったが、のちに熱心なEU離脱派に変わる。それもあって読売新聞はこう続ける。

「支持者アピールを常に忘れない。EU離脱をめぐる宗旨替えの経緯などから『目の前の聴衆に合わせて発言が変わる』(野党議員)との批判もある」

   産経新聞「強気前面『新・鉄の女』 外交・政策一貫性に不安」は、政策面に一貫性がないことを指摘する。

「外交上の交渉力には不安も示されている。(トラス氏は)遠慮のない口調で自己主張する傾向が強く、昨年9月のブリンケン米国務長官との会談では、トラス氏が英米間の鉄鋼関税をめぐる摩擦に一方的に言及。外交的な対話とかけ離れた雰囲気だったという」
「トラス氏は英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票でEU残留を支持したが、後に離脱支持に転向。保守党の党首選でも労働者の賃金をめぐる公約を発表後、すぐに撤回し『失態』とも報じられた。英調査会社ユーガブの8月下旬の世論調査では、『トラス氏が首相になれば英国が良くなるか否か』という質問に対し、『良くなる』とした回答はわずか12%だった」

   こういったありさまなのだ。

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