永守氏「企業文化が崩れていくことに危機感を覚えた」
今回、退任に至ったのは、直接には、日産自動車出身の関氏が任され、次世代の屋台骨に育てようとしていた車載事業の不振だった。
2022年4~6月期連結決算(国際会計基準)は、全社の営業利益は446億円と横ばいで、円安による押上約87億円を除けば、実質減益。事業別では、車載事業が3200万円の赤字(前年同期は48億円黒字)に転落した。
電磁鋼板やマグネットなど原材料の値上がりに製品の値上げが追い付かなかったと説明されたが、車載事業の営業赤字は22年1~3月期に続き2四半期連続。
これを発表した7月20日の決算説明会で、関氏は「私のリーダーシップが足りないのは確かだった」と述べたが、永守会長は「すぐやる、必ずやる、できるまでやる、の企業理念にのっとって強いリーダーシップがあれば改善できる」と、不満を隠さなかった。
この時、永守氏は、自身のCEO復帰について「企業文化が崩れていくことに危機感を覚えた。その現象を見て見ない振りをすることはできなかった」と、あらためて説明した。
こうした一連の発言を読み解くと、関氏のもとで、日本電産創業以来の企業文化が崩れていくことの不満もあったということだろう。