みなさん、こんにちは。馬医金満です。
観光庁は、日本を訪れる外国人観光客の回復を見据えて、これまで取り込めていなかった富裕層などを地方の観光地に誘致しようと、モデルとなる観光地を選んで地域の観光戦略を支援すると発表しました。
海外富裕層のインバウンド消費について見てみます。
求められる特別で高付加価値な「体験」
観光庁によると、外国人観光客はコロナ禍前の2019年には年間2800万人を超えていました。訪日外国人客のうち、1回の旅行で100万円以上を消費した「高付加価値旅行者」は、米国や中国など6か国から約28万7000人。合計で約5523億円を消費したと推計されるといいます。1回の旅行で100万円以上を消費する富裕層もいたということです。
その一方で、高付加価値を求める旅行者は東京や大阪といった大都市を訪問するケースが多く、訪問先を地方の観光地に広げて地域経済の活性化につなげることが成長戦略の一つとして盛り込まれました。
ウィズコロナ、アフターコロナの時代に、日本を訪れる外国人観光客の回復を見据えて、海外富裕層を地域の観光地に誘致しようと、2022年度に政府はモデルとなる観光地を10か所程度選び、地域の観光戦略を集中的に支援することにしたのです。
つまり、海外富裕層を積極的に地方の観光地に誘致することで、インバウンドの全体の消費額を伸ばそうということですね。
消費金額のアップという直接的な効果はもちろんですが、それ以外にも副次的な効果が見込めます。富裕層マーケットの訴求には、「特別な体験」や「本物の価値」というキーワードがあります。日本はアジアの競合国をはじめとした他国にはない独自の観光の魅力を有しているとされ、海外富裕層の取り込みに向けたポテンシャルは十分にあると考えられます。
ただ、特別な高付加価値な「体験」はこれまでも掛け声はありましたが、それがどのような観光なのか、実態はなんなのか、あまり知るはっきりした「カタチ」がありませんでした。
欧州では城を貸し切り1億円使う人がいる
2022年7月21日付の日本経済新聞に、「超富裕層の観光客受け入れ コロナ後見据え自民議連動く」の見出しの記事がありました。それによると、2021年末に発足した「ラグジュアリー観光議員連盟」(会長=河野太郎広報本部長)は、かつて訪日中国人観光客の「爆買い」で国内消費が潤ったように、これからは「高額消費につながる富裕層に選んでもらえる国」を目指すといいます。
そして、記事では「日本に足りないものはまだある」として、プライベートジェットで来日できたり、ヘリコプターに乗り換えられたりするような空港は日本にほぼないことや、スイートルームが整った宿泊施設が少ないことなどを取り上げ、「超富裕層が使うのは一般的な旅行ツアーではなく、高額でも唯一無二の旅行体験を求めている」と、説いています。
課題は二つ、考えられます。一つは海外の人が魅力に感じるポイントがわからなくなっていること。これは自分たちの「日常」が商材になり得ることに気づかないでいる、とも言い換えることができます。もう一点は、本当のラグジュアリービジネスがわかる人があまりおらず、一般的な高級志向の延長が多くの施設のコンセプトになっていることです。
つまり、海外富裕層が望んでいる旅行をアレンジできる人材に乏しいという現実があるのです。「欧州では城を一晩貸し切りにして1億円使う人がいる」そうです。大切なのは、海外の目線を取り入れて、これらの課題を解決できる「人材」といえそうです。
では、また!(馬医金満)