民事訴訟には時間とお金が必要
過去に、筆者である私も、民事訴訟を起こしたことがあります。顧問料+コンサルフィーの未払いがあり、最終的に支払いを拒否したため提訴しました。訴訟額は総額1000万円を超していました。月額顧問料の未払いと、受注案件の取り分が争点です。契約書やメールの履歴がありましたので、簡単に勝訴できるものと考えていました。
ところが、筆者である私の場合は、1年以上かかり、最終的には和解勧告を受け入れました。期日前になると、相手から準備書面が送られてきます(通常は、自分がいかに正しく、相手が間違っているかが書かれています)。これを毎回読み込むのですが、かなりのストレスになります。事実とはまったく異なるストーリーが展開されることがあるからです。
また、ドラマなどの裁判シーンでは立派な法廷が映し出されることがありますが、これは刑事事件の場合です。民事裁判では、カーテンひとつ隔てた小さいブースで、原告被告が数十センチの距離で顔を突き合わせます。結果的に、訴訟額の十分の一程度の和解金で妥結せざるを得ませんでした。ここから、弁護士費用やら裁判費用を引くと何も残りません。
司法統計によると、民事訴訟のうち判決にまで至るのは約4割しかありません。多くの場合は落としどころを見つけ、示談金(和解金)などを支払って解決することになります。とはいえ、勉強にはなるので、一回くらいは経験してもいいかもしれませんが......。
本稿では「民事裁判」を取り上げましたが、本書の主題は「情報を見極める力」です。投資家、医師、大学教授、不動産屋、元刑事など、さまざまな分野の専門家たちの監修の元、質の高い情報がまとめられています。
自分のためにも、家族を守るためにも、ぜひ参考にしたいものです。
(尾藤克之)