歩くだけ、撮るだけ、寝るだけ...。何かをしながらポイントが貯まり、活用できる「ながらポイ活アプリ」が人気だ。
やってみたいけど「ちょっとめんどくさそう」「個人情報、大丈夫なの?」と思っている人もいるだろう。いったいどのくらい多くの人がやっているのか。モバイル市場の専門調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年8月30日、「ながらポイ活に関する調査」を発表した。
それによると、利用している人は55.5%と半数を超え、とくに10代では6割を超えるほど広がっている。
レシートがお小遣いに変身する「撮るだけポイ活」
矢野経済研究所が今年8月22日に発表した「ながらポイ活アプリ」を含む「ポイントサービス市場調査」によると、2021年度のポイントサービス市場規模は2兆1001億円。コロナ禍から立ち直り傾向にある2022年度には2.5%増の2兆1533億円を見込む。
「ながらポイ活アプリ」の仕組みはどうなっているのか。
たとえば、「歩くだけでポイントが貯まる」というアプリの場合は、1000歩ごとに1コインを獲得。100コインまで貯まると、自動的に1ポイント(〇円相当)に交換できる。
レシートがお小遣いに変身する、「撮るだけでポイントが貯まる」というアプリもある。レシートを撮影するだけで、レシート1枚につき「〇ポイント」で買い取る仕掛けだ。
「寝るだけでポイントが貯まる」アプリの場合は、起きたい時間にアラームをセットして「計測開始」のボタンを押す。枕元にスマホを置いて、いつも通り寝るだけで寝返り回数などから睡眠の質を測定してもらえるうえ、一晩につき「〇ポイント」をゲットできる。
さて、15歳~69歳の男女7248人を対象とした今回のMMD研究所の調査ではまず、「ながらポイ活アプリ」を知っているか(認知)と「利用したことがあるか」を聞いた。すると、「認知」は80.6%、「利用経験」は61.3%、「現在利用」は55.5%となった=図表1参照。
年代別で見ると、いずれも10代がトップとなり、とくに現在利用している人が60.7%と6割を超えた。しかし、50代まで現在利用している人が5割を超えており、幅広い世代に人気があることがわかる=再び、図表1参照。
どのジャンルを利用したことがあるのかを聞くと(複数回答)、「現在利用」ではウオーキングなどの「移動計測」(32.8%)が最も多く、次に「レシート撮影」(30.2%)、「ゲーム」(21.6%)、「食事・体重計測」(11.5%)、「節電」(11.4%)、「睡眠」(8.7%)となった=図表2参照。
そして、一番人気の「移動計測」の利用経験がある人に、利用アプリを聞くと(複数回答)、「トリマ」(63.1%)がダントツに多く、次に「Coke ON(コークオン)」(30.1%)、「dヘルスケア」(23.6%)、「aruku&(あるくと)」(18.6%)、「Miles(マイルズ)」(17.9%)となった=図表3参照。
2000円もらえる「節電プログラム」の関心度は?
一方、「ながらポイ活アプリ」をダウンロードする際に最も重視する点はなんだろうか。「ポイントの貯めやすさ」(42.7%)が最も多かったが、「安全性・信頼性」(18.3%)が2位に入った。個人情報を入力するケースが多いことに加え、悪質な詐欺サイトの被害が後を絶たないからだ。続いて「手軽さ」(14.3%)、「ポイント交換先の種類」(10.0%)との順=図表4参照。
まだ利用したことがない人にやってみたいジャンルを聞くと(複数回答)、男性は「移動計測」(50.6%)が最も多く、次に「睡眠」(46.3%)、「ゲーム」(30.3%)となった。女性は「睡眠」(49.0%)が最も多く、次に「移動計測」(47.1%)、「レシート撮影」(35.7%)となった=図表5参照。
ところで現在、電力各社が行っている節電に応じてポイントを付与する「節電プログラム」が注目を集めている。たとえば、東京電力エナジーパートナーは7~9月、1キロ・ワット時の節電ごとに5円相当のポイントを付与するプログラムを始めている。参加方法は各社によって異なり、スマートフォンにアプリをダウンロードしたり、ホームページから申し込んだりする。
今夏の電力ひっ迫状況の深刻さを受けて、経済産業省も8月3日、電力各社の「節電プログラム」に相乗りするかたちで、家庭には一律2000円相当(2000ポイント)、企業には1法人当たり20万円相当(20万ポイント)を付与すると発表した。詳細はまだ決まっていないが、冬の電力危機が始まる今年12月1日から実施する予定だ。
こうした「節電プログラム」について知っているか(認知)、また、参加したことがあるかを聞くと、「認知」が41.1%、「参加している」が7.8%、「参加を検討している」が16.6%となった=図表6参照。
性別年代別で見ると、「認知」は男性50代が48.7%、「参加している」は男性30代が10.0%、「参加を検討している」は女性60代が54.0%とそれぞれトップとなった。
全体的に女性の10代~20代が「認知」が低く、「参加」への意欲は男女ともに50代~60代が高い傾向にあることがわかった=再び、図表6参照。
調査は2022年7月29日~8月2日にスマートフォンやタブレットを使っている全国の15歳~69歳の男女7248人に聞いた。
(福田和郎)