都会で失業率が高まらなかったワケ
コロナはさまざまな格差を顕在化させたと言われたが、中央大学経済学部教授の阿部正浩さんの「都会の仕事、田舎の仕事」という論文は、感染による地域間格差への影響をまとめたものだ。 一般に、感染者の多い大都市圏ほど、休業や失業を経験した人が多いと言われている。
しかし、地域別最低賃金の目安ランク別に、ランクAの大都市圏の都府県、ランクBの大都市圏の周辺の府県、ランクCの中小規模の都市圏のある道県、ランクDのそれ以外の県で見てみる。
すると、累計感染者数がランクDの3倍以上もあるランクAと比較して、就業継続割合がそれほど違っていないことに気が付く(ランクAで82.02、ランクDで86.09)。
なぜ、都会で失業率は高まらなかったのか?
阿部さんは、ランクAの地域で進んだ、テレワークの影響を指摘している。ランクAでは5人に1人がテレワーク制度を活用できたことが、コロナ禍でも就業継続を可能にし、感染者数に比較して、仕事への影響を軽微なものにしたという。一方、ランクDの地域では、75.0%の人が「制度として導入されていなかった」と回答していた。
また、感染による地域間格差への影響について、仕事の内容にも注目している。
それによると、ランクAの地域では「情報通信業」の割合が他の地域に比べて高く、職業も「事務職」や「営業職」の割合が高い。一方、ランクBの地域では「生産工程・労務職」が多く、ランクCやDの地域では「農林漁業」や「建設業」の割合が高く、そして「サービス職」の割合も高いという特徴がある。
これらがテレワーク制度の整備に影響し、結果として就業状態にも影響したと考えられるという。