いよいよ本番「食品値上げラッシュ」! ピークは10月も、年末に一服か? この状況に生活防衛の「知恵」続々...「激安スーパー」「見切り品」「食後に買い物」

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   9月に入ったが「食品値上げラッシュ」の猛威が収まらず、10月に記録破りのピークを迎えるという。

   帝国データバンクは2022年8月31日、「特別企画:『食品主要105社』価格改定動向調査(9月)」を発表したが、10月だけでも年内最多の約6500品目が値上げされる予定で、年内累計は2万品目を突破する勢いだ。

   インターネット上では「我家の節約術」を披露する涙ぐましい声があふれている。

  • スーパーの高い食品に悩む女性(写真はイメージ)
    スーパーの高い食品に悩む女性(写真はイメージ)
  • スーパーの高い食品に悩む女性(写真はイメージ)

9月の値上げ、マーガリン、ポテトチップス、ハム、ソーセージ...

   帝国データが主要食品メーカー105社に今年1月以降、値上げした品目を聞くと、8月末までの時点で累計2万56 品目の値上げが判明した。そのうち9月単月の値上げ2424品目に上り、8月に続き2か月連続2000品目超の値上げとなる=図表1参照

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(図表1)2022年の食品値上げ品目の月別数(8月31日時点)(帝国データバンクの作成)

   これまでの報道や発表をまとめると、雪印メグミルクが家庭用マーガリン類やチーズ50品目で9月1日の納品分から希望小売価格を約3%~14%値上げ。明治も家庭用マーガリン類16品目を約5%~15%値上げする。

   菓子類では、江崎グリコがチョコレート菓子やアイスなど150以上の品目で出荷価格を約3%~24%値上げ。ロッテがチョコレート菓子やガムなど74品目で約4%~17%の値上げ。

   カルビーがポテトチップスなど計150以上の品目で、約5%~20%の値上げ。湖池屋もポテトチップスの21品目で約4%~9%の値上げ。

   加工食品では、プリマハムが家庭用ハムやソーセージなど、約200品目で5%~20%値上げ。

   ......といった案配だ。

10月の値上げ、ビール大手、清涼飲料水が一斉に

   帝国データバンクによると、「値上げラッシュ」は10月にはピークを迎える。10月にはアサヒ、キリンなど大手各社のビール類や、コカ・コーラ、伊藤園など清涼飲料水で一斉値上げが予定されており、10月単月だけで6500品目を超える。これまで年内最多だった8月の2.5倍という記録的な値上げとなる。

   各品目の価格改定率(各品目での最大値)も平均で14%に達し、原材料高や急激に進んだ円安を反映した夏~秋以降の大幅な価格引き上げが、全体の値上げ率上昇につながっている。

   また、食品105社のうち、今年値上げを行う企業の割合は約8割に当たる82社となり、昨年の21社から約4倍と急増した=図表2参照。昨年の値上げは、主に食用油価格の高騰が理由。そのため、値上げした企業・食品ともに少なく、影響は限定的だった。

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(図表2)食品主要105社「値上げ」を行った割合(帝国データバンクの作成)

   しかし、今年は状況が異なる。

   食用油や小麦などの食材高に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、さらに急激な円安が重なり、ほとんどの食品・飲料で値上げが行われている点が特徴だ。

   食品分野別に値上げ品目をみると、最も多いのは加工食品で8530品目が判明。値上げ率も平均で16%に達し、年後半に大幅に値上がりする食品が多い。とくに、調味料が4651品目と突出して多いことが目立つ。これは、原料の砂糖や食用油が年内に複数回値上げされたことが響いた。また、だし製品のほか焼肉のたれ、マヨネーズ製品など幅広い品目で値上げが顕著だった=図表3参照

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(図表3)主な食品分野、値上げの動向(帝国データバンクの作成)

政府の小麦価格据え置きで「一服感」が年末にくる?

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多くの食品が値上がりしている(写真はイメージ)

   ただ、「朗報」もある。一時は10月に2割以上の値上がりが想定された小麦価格を、政府が現在の水準に据え置く方針を固めたため、小麦価格高騰が反映された春先の「値上げラッシュ」再来は年明けまで回避できそうだ。

   また、11月以降に予定されている値上げは年内2番目の少なさとなり、値上げの波は秋口をピークに、いったん収まる気配をみせている=再び、図表1参照

   だが、「まだ安心できない」として帝国データバンクでは、こうコメントしている。

「多くのモノ・サービスで値上がりが続くなか、食品各社でも価格改定への抵抗感は低下しており、機動的に値上げ・再値上げを行う企業・品目が多い。原材料価格高騰と円安、原油高 と『三段構え』のコスト増で、長年価格を据え置いてきた食品なども価格改定を余儀なくされるケースもみられ、春・夏を上回る記録的な値上げ『第三波』を形成する要因となった。
(小麦価格は据え置かれる見込みだが)電気代や燃料費、人件費に加え、食用油など一部の原材料では足元で高止まりが続いており、断続的な値上げが今後も続く可能性は残されている」

「閉店間際の見切り品や割引品を一生懸命買っています」

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激安スーパーでまとめ買いを(写真はイメージ)

   こうした値上げラッシュについて、インターネット上ではあきらめの声が広がっている。ヤフーニュースのヤフコメ欄を見ると、こんな涙ぐましい節約術のアレコレが――。

「メインのおかずは半額を選び、調味料や牛乳はPBで。徒歩でスーパーや八百屋を回り2日分を購入。冷蔵庫やパントリーが空でも買い足しせず工夫で乗り切る。食パンや納豆は安いときに2個買って冷凍。バターやビールはポイントで交換。洗濯は風呂の残り湯、交通費は歩いて節約。
お皿洗いはチョロチョロ水、煮物は厚手の鍋で早目に火を止める。お菓子はほとんど買わずレギュラーコーヒーは朝だけ。ここまでやると今はまだ耐えられるレベルです」
「食料品を買いに行く時は、事前に自宅で食事を済ませて満腹になった状態で行くことだね。そうすると、ムダな食料品を買うことが減る」
「節約だけでなくダイエットのためにも菓子、ビール、コーヒーなどの嗜好品は買わないようにしている。だが、料理好きなので、調味料の値上げはつらい」
「色々と値上がりしているので、スーパーで和牛や刺身などを、閉店間際の見切り品や割引品を一生懸命買っています」

   最後に、こんな声を紹介したい。

「決して価格転嫁と呼ばれる現象ではないようなので、原材料費やエネルギーの高騰が一服し修正された時に、今般の値上げ相当分が各企業の利益となり、ゆくゆくは従業員の報酬として還元されるという、よい流れができることに期待したい」

(福田和郎)

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