タイヤ大手、横浜ゴムの株価が2022年8月中旬から連日年初来高値を更新している。原材料費や輸送費が高騰するなかでも農機用タイヤが好調で売り上げ、利益ともに高い伸びを示していることが注目され、投資家の買いが入っている。
ロシアによるウクライナ侵攻で穀物価格が上昇するなか、北米などで商機とみて、生産効率を上げようと農機への投資が増え、これに伴い農機用タイヤ販売が好調なためだ。
タイヤ事業のうち農機用に限ると、前年同期比69.4%増、121億円の事業利益
それでは足元の株価伸張の起点となった、8月10日発表の2022年6月中間連結決算(国際会計基準)の内容を確認しておこう。
売上高にあたる売上収益は前年同期比28.8%増の3914億円、事業利益は5.3%増の277億円、最終利益は36.9%減の233億円。最終利益の減益は、前年に本社ビルの売却益を計上した反動によるもので、売上収益には円安による円ベースの増収が大きく寄与した。
横浜ゴムが開示した「為替影響」によると、1~6月の売上収益3914億円で前年から増えた875億円のうち、314億円が為替影響による増加分だった。
事業利益は、本業の儲けを示す営業利益に、金融取引上の利益を足すなどした国際会計基準の指標。横浜ゴムの6月中間決算の事業利益を詳しくみてみると、売上高全体の9割近くを占めるタイヤ事業は前年同期比12.7%増の264億円。
ただし、為替影響が69億円プラスに寄与しており、為替影響を除くと前年同期比で39億円のマイナスとなってしまう。
しかし、タイヤ事業のうち、農機用などの「YOHT」に限れば、前年同期比69.4%増の121億円の事業利益を稼いでいる。YOHTは、為替影響を除いても前年同期比で事業利益を34億円増やしている。
横浜ゴムは2016年、農業機械や産業機械用タイヤメーカーで欧米を主な販売先とする蘭アライアンスタイヤグループを買収しており、その成果がここへきて見事に表れたといえる。