バイデン大統領の狙いは「持続可能な経済制裁」?
ところで、経済制裁は一定の目的を果たしていることを、非常にユニークな視点から分析したのが、丸紅経済研究所のリポート「ロシアレポート特別号:制裁の目的はプーチンに戦略的失敗を理解させること」(8月15日付)だ。
リポートでは、
「経済制裁はロシアの侵攻を即時に停止させるようには効いていないようにみえる。それでは経済制裁の目的はなにか」
と問いかけて、こう続ける。
「ホワイトハウスのホームページをみると、『~そして第2に、誰も制裁が何かが起こるのを防ぐことを期待していませんでした。これは時間がかかるでしょう(this is going to take time.)』というバイデン大統領の2月24日付発言がある。さらに調べると同日ダリープ・シン米国家安全保障補佐官は次のように述べている。『そして最後に、私が前に述べたように、それら(経済制裁)は持続可能でなければなりません。これらの制裁は長期的に機能します。それが私たちの設計を導くものです』
そして2月26日付のホワイトハウス声明は、一連の制裁の目的を明示(We will hold Russia to account and collectively ensure that this war is a strategic failure for Putin.)している。要するに『持続可能、長期的、失敗をわからせる』が一連の経済制裁のキーワードなのだ。そう考えるとロシアからのエネルギーの流れを一定程度維持することで持続可能性を高めた今回の経済制裁はここまで一定の目的を果たしていると言える」
と、結んでいる。
「持続可能な経済制裁」で、プーチン大統領に失敗をわからせることがバイデン大統領の狙いだったとは......。しかし、プーチン大統領は「失敗」と認めているのだろうか。
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(福田和郎)