既存の活動がSDGsに該当する場合もある
企業からはこんな意見が相次いだ。
「SDGsはビジネスになることに関する理解が高まったと思う。今後も売り上げ増が見込めるのであれば環境にやさしい素材を販売していきたい。ただし、商品によっては価格が一番大事で高価格商品は相手にしない企業も多い」(織物卸売、大阪府)
「取り組む過程でいろいろな企業、団体とかかわることが多く、社員のモチベーションがだいぶ上がった。自社の取り組みに対して自信が持てるようになったようだ」(産業用機械器具賃貸、愛知県)
「始めた当初は太陽光発電などの推進をうたっていたが、今はジェンダー平等、自社の雇用環境の見直しなど、自社および自社が活動している町を持続可能にするにはどうしたら良いか考えるようになった」(木造建築工事、三重県)
「子供食堂や木工物のふるさと納税、環境保全活動のために自治体と木製コンポストの普及を進めるなど、産官学で取り組みを進めている。その結果企業のイメージが向上、地元からの受注増に繋がっている」(木造建築工事、愛知県)
こういった案配だ。
帝国データバンクでは、
「企業の66.5%が取り組みによる効果を実感している結果となった。このように、SDGsの達成に向けた企業の取り組みは、単なる社会課題解決に向けた貢献だけでなく、企業価値の向上やビジネスチャンスの獲得にもつながる。また、SDGsを通じて社会の課題を認知し、対応することで経営リスクの回避につながり、企業の持続可能な成長を実現する効果も期待できる」
と、SDGsをビジネスに生かすメリットを強調したうえで、こうアドバイスする。
「『どのように対応すればよいか分からない』(中略)『費用面・人材面での余裕がない』などといった声も聞かれ、課題は依然として多く残っている。企業はSDGsに新たに取り組むだけでなく、まず既に行っている自社の活動がSDGsのいずれに該当するかどうかを確認することも大切だと考えられる」
調査は2022年6月17日~30日、全国2万5405社にアンケートを送り、1万1337社(44.6%)から有効回答を得た。SDGsに関する調査は2020年6月、2021年6月に続いて今回で3回目。
(福田和郎)