「プロ投資家」参加するTPM...なぜいま、注目されているのか?【馬医金満のマネー通信】

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   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   みなさんは「TOKYO PRO Market(TPM)」という名称を聞いたことがあるでしょうか。「プロマーケット」と呼ばれることが多いTPMですが、じつは日本取引所グループ・東京証券取引所が運営する株式市場の一つなのです。

   「プロ」の投資家に限定した新しい市場がTPMであり、ここ数年、起業家や経営者から、とても注目を集めています。なぜ今、このTPMが注目を集めているのでしょうか。

  • 「TOKYO PRO Market」は東京証券取引所が運営する株式市場の一つ
    「TOKYO PRO Market」は東京証券取引所が運営する株式市場の一つ
  • 「TOKYO PRO Market」は東京証券取引所が運営する株式市場の一つ

厳しいプロ投資家の眼鏡に適った企業

   TOKYO PRO Market は、2012年に誕生した東京証券取引所が運営する株式市場です。もとはロンドン証券取引所が運営する「ロンドンAIM」を参考に、東証とロンドン証券取引所の共同出資により創設されたTOKYO AIM市場が母体として存在。2012年に東証がロンドン証券取引所から株式を譲り受けたことで、TPMに衣替えしました。

   TPMも東証が運営する株式市場ですから、プライムやスタンダード、グロースの市場と同様に、上場(株式公開=IPO)することで、多くの人に会社を知ってもらえる機会が増え、認知度が向上します。監査法人の監査を受けることになるので、信用力もアップ。資金が調達しやすくなり、組織力の強化や従業員の士気向上など、こうしたメリットをもたらします。

   もちろん、上場すると会社の財務情報などをタイムリーに開示(公表)しなければならなくなるので、上場までの期間や管理コストが膨らむこと、それでも間違いなく上場できるかどうかは不確実といったデメリットがあることも事実です。

   しかしTPMであれば、たとえば上場前の監査期間は、プライム市場が最近の2年間であるのに対して、最近1年間でOKですし、プライム市場などで必須な財務情報の四半期開示も任意。内部統制報告書の提出も任意でOKです。

   つまり、上場のメリットを維持しながら、デメリットを軽減することができるのが、TPMなのです。上場コストやガバナンス体制、上場審査のハードルがプライムやスタンダード、グロースなどの他の市場より低く、これまで東証マザーズやジャスダックを目指しながら、長期にわたり上場準備を進めてきたにもかかわらず、上場に対して「突破口」を見いだせないような会社の場合、取り組んできた経営態勢を活かしながらTPMを選択することで、上場への道が拓けるかもしれないわけです。

   TPMに上場した会社の中には、そういった上場準備を活かすことで、半年から一年弱で上場を果たした例もあり、TPMが会社の成長にとって有力な選択肢となるはず。

   TPMは、開示情報の基準を緩めても、しっかりした経営、将来にわたり持続可能な経営態勢であれば、上場できる市場といえ、それはさまざまな会社をウォッチし、投資してきたプロの投資家の厳しい眼鏡に適った会社ともいえそうです。

TPMへの上場を助けるのは証券会社だけじゃない!

   TPMのもう一つの特徴に、「J-Adviser」制度があります。この制度は2008年の改正金融商品取引法によって可能となったもので、東証は一定の資格要件を満たし、資格を認証したJ-Adviserに対して特定業務(上場または上場廃止に関する基準または上場適格性要件に適合するかどうかの調査)を委託しています。

   J-Adviserは担当する上場予備軍の会社に、上場前の上場適格性の調査確認や上場後の適時開示の助言・指導、上場維持要件の適合状況を調査します。

   こうした段階を経てTPMには、たとえば宝印刷が担当したマグネシウムの成形・加工グループの株式会社STG、日本M&Aセンターが担当した大阪府のシステム開発会社、株式会社フィットワークス・直近ではブリッジコンサルティングなどの約60社が上場してます(2022年8月4日現在)。

   注目してほしいのはJ-Adviserの担い手が、証券会社だけではないところです。宝印刷は企業のディスクロージャーや株式上場を支援する企業ですし、日本M&Aセンターは、後継者難に苦しむ企業の事業承継が業務の柱です。TPMへの上場を手伝うJ-Adviserの「肝」は、その企業をよく知っていることのようです。

   では、また!(馬医金満)

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