「金融排除」が広がった3つの理由
金融庁が「金融排除」に関心を持ち、調査を始めたのは、2016年、森信親長官時代のことだという。企業へのヒアリングとアンケート調査から、「信用保証協会の保証が得られなかったことで、金融機関から融資を断られたことがある」という回答が数%あったのだ。
言い換えれば、「自分のところで融資(プロパー融資)することなどみじんも検討していない」ことを意味する。橋本さんはこう憤っている。
「自分だけが都合の良い条件で貸し出し、経営改善に何ら手を貸すことなく、状況が悪くなれば保証協会に弁済させて逃げ出す。さらに、その結果、保証協会も回収できなかった分は国民負担にツケを回す金融とは一体何か」
金融排除はなぜ広がったのか。地域金融に詳しい一般社団法人地域の魅力研究所の多胡秀人代表理事の証言を紹介している。
1 不良債権問題で痛手を負い、その反動でリスクを取らない体質になった。
2 信金信組といった協同組織金融機関の数が減ることで、零細層への貸し手がいなくなってしまった。
3 大盤振る舞いの政府保証 信用保証制度が肥大化し、金融排除の温床になった。
次に、近年存続が問われる機会の多い第二地銀について論じている。
無尽会社→相互銀行→第二地銀と形を変えてきたが、金融排除を広げる一つの要因になっているという。その理由をこう説明している。
「本来、第二地銀がメインターゲットとしていた、中小企業のうち比較的小規模な事業者や零細事業者のゾーンの経営改善や売り上げ貢献などの活動が曖昧となり、多くの第二地銀が担保と保証のある顧客に対して低金利融資競争を仕掛けるだけの存在になってしまったからだ」