「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。
今回の「CASE 10」では、SDGsも経営理念も「お題目」と軽視する部下のケースを取り上げます。
「経営理念って、本当に必要ですか?」
【上司(課長)】A君。君は我が社の経営理念、ちゃんと知っているか?
【部下(A君)】はいっ? いいえ...入社時研修では習ったはずですが、覚えていませんね?。
【上司】それは困るな。「お客様本位のサービスを提供し社会貢献を目指す...」とうたっているんだ。いつも心得ていないと、いい仕事ができないぞ!
【部下】そうでしたね! でも課長、日頃接客には注意してますし、いつも「ありがとう」と感謝されてますよ。だから、結果オーライだと思います。
【上司】それだけでは不十分だ。SDGsなどへの関心も高まっているなか、常に胸に置き、心がけなければ...。
【部下】しかし、社会貢献やお客様本位は人によって、とらえ方が違います。結局、企業は利益を出さないとダメなわけですし。みんなもそう言ってますよ。経営理念って「お題目」っていうか、本当に必要なのでしょうかね?。
【上司】不謹慎だな! もう一度全文をよく読み直して、仕事ぶりを見直すように!
【部下】はぁ?(...課長だって理解しているのか、あやしいくせに!)
SDGsへの注目が高まる現代。そもそも「全社員が、よき経営理念のもと、一丸となることが大切」とは、昔から唱えられてきたこと。しかし、多くの企業が経営理念を浸透させることに苦慮しています。
その理由は、上で取り上げた今回のCASEにもあるように、その理念は言葉としては綺麗なものの、抽象的で人によって受けとめ方もまちまち。CASEでは、部下が経営理念を「お題目」だと言ってはばからない様子。あなたがこの上司なら、部下たちにどのように諭しますか?