「本来なら日本で旅行したいが、他国へ」
日本を敬遠する外国人は実際、増えているようだ。
航空大手は業績の回復が報じられるが、その中身から、「ジャパン・パッシング」の傾向がうかがえる。
ANAホールディングスは2022年4~6月期の連結決算で、最終利益が10億円の黒字(前年同期は511億円の赤字)になった。
業績回復の要因の一つは、アジアと北米を行き来する人たちの乗り継ぎ需要の高まりだ。ANAでは、最近では利用者の約半数が乗り継ぎ客だという。
関係者によれば、ベトナムやタイから日本を経由して米国などに向かうケースが増加している。「本来なら日本で旅行したいが、日本の入国制限が厳しいため他国へ向かう」という人が相当数いるとされる。
こうした中、政府は入国者数の上限を1日2万人から引き上げるなど、水際対策を緩和する方向で検討に入った。
ただ、現状では感染拡大が続いており、厳しい水際対策を維持すべきだ、という声も根強い。このため、政府が思い切った緩和に踏み切るのはもう少し先になるのではないか、と見る向きが多く、観光業界の苦悩は続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)