職場で感じる男女による不平等を聞いたところ、女性の多くが「給与・待遇」や「昇進のしやすさ」について不平等を感じている一方で、「仕事の重さ」「仕事の量」「上司からの厳しさ」などは男性のほうが多く不平等を感じることがわかった。
学生のアカデミックリサーチを積極的に支援するリサーチ&マーケティングのネオマーケティング(東京都渋谷区)が、宮城大学の「経営情報管理」を受講した学生と「日本社会のジェンダーに関するアンケート」を実施した。2022年8月16日の発表。
世界経済フォーラム(WEF)が3月30日に発表した「世界ジェンダー・ギャップ報告書 2021」によると、日本は「男女平等」で世界153か国中120位と下位に甘んじた。ただ、学生にこの順位が妥当か聞いたところ、6割以上が「妥当」としていた。
仕事で感じる「立場による不平等」の大きさ
調査では、職場での男女の不平等を感じた経験を聞くと、女性で多かった答えが「給与・待遇」の44.9%(男性は20.6%)。次いで「昇進のしやすさ」の32.5%(男性19.3%)、「任される仕事の質」の27.2%(男性22.1%)だった。
その一方、男性は「上司からの厳しさ」の28.1%(女性11.3%)がトップ。「任される仕事の量」25.4%(18.7%)や「仕事の責任の重さ」24.4%(20.5%)が「不平等を感じる」と答えていた=下のグラフ参照。
職場では男女どちらも、それぞれがおかれている状況から不平等を感じてしまう構図となっているようだ。
こうした結果に学生は、
「仕事においては、場面は違えど男女ともに不平等を感じた経験があるという点に驚きました。仕事という場面で起きているのは男女による不平等というよりも、立場による不平等が大きいのではないかと思いました。男女で区別することなく、職場での不平等の解消がジェンダーに関する日本の現状を変える一つのステップになりえると考えています」
とコメントしている。
また、職場における有給休暇の取得や出産育児休暇、さらに女性の役員登用などについて聞いたところ、「男性の出産育児休暇取得」については「進んでいる」と回答した人が2割ほどだった=下のグラフ参照。
改正育児介護休業法により、今年4月以降、男性育休の取得が義務化され、今後は女性のみならず男性社員も柔軟に育休がとれる環境が整ってきている。調査からは、まだまだこれからであることがわかる。
一方、「女性の正社員雇用」について、「進んでいる」と答えた人も5割を切る結果となり、役職者や役員登用はさらに低い割合となった。企業規模や業種、職種によっても差はあるが、生活者の実感としてもまだ進んでいない領域が多くありそうだ。
学生からは、
「有給取得、役割に関する面ではまだまだ制度や文化が整っていないのが現状であると感じました。職場での制度を整え推進していくことはもちろんですが、その制度を積極的に活用したい、利用してもいいと思える環境づくりを進めていくことが必要であると思います」
とのコメントを寄せた。
メイクは男女関係なく「したい人がすればいい」時代!
調査では、男女の外見(メイク)への考えについて、それぞれに意見を聞いた。
全体でみると、男女関係なく、したい人がメイクをすればいい、男女関係なく好きな格好をすればいい、人の外見について他人が言及するべきでないといった、「男女」という考え方に縛られず、個人が望むようにすればいいという考えが支持を集めているようだ。
それぞれの結果を性・年代別にみると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるマスク生活やおうち時間の増加で、化粧をめぐる環境は大きく変わった。「女性がマナーとしてメイクをするべき」という考えについて、どのように思うか聞いたところ、すべての性・年代で「そう思わない」と答えた人が、「そう思う」と回答した人を上回った。
なかでも、その傾向が強いのは、女性の10代、20代、60代、男性の40代と60代だった=下のグラフ参照。
昨今、男性メイクも特に若い世代を中心に注目を集めている。「男女関係なく、したい人がメイクをすればいい」という考えについて、特に女性の肯定的な回答が目立つ。10代、20代の女性については7割が肯定的だった。
学生からは、
「男女問わず、見た目や格好に関する捉え方は寛容になってきていることを強く実感しました。外見に関しては、男女という性別を超えて自分自身の好きなようにして良いという意識が浸透してきているということなので、ここからジェンダーへのとらえ方の多様性を推進していくことができるのではないか、ここに着眼点が隠されているのではないかと感じました」
との声があった。
なお調査は、2021年6月15日~16日に、全国の15~69歳の男女を対象に実施。有効回答数は1000人。ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用した。