オリンパスの株価が上昇基調に乗り、連日年初来高値を更新している。内視鏡事業が好調で2022年8月9日発表の4~6月期連結決算(国際会計基準)の内容がよかった。また、2023年3月期の業績予想を上方修正したことが投資家に好感されて以降、上値を追って8月15日に一時、2964円50銭と約3週間ぶりに年初来高値を更新、16日には3000円の大台に乗り、その後も下落基調に転じる気配を見せていない。
4~6月期連結決算...最終利益33.0%増の248億円で増収増益
それでは少し前の発表になるが、2022年4~6月期連結決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比11.8%増の2140億円、営業利益は47.7%増の407億円、最終利益は33.0%増の248億円と増収増益だった。
主力の内視鏡事業は売上高が前年同期比16.8%増の1168億円、営業利益は9.6%増の248億円だった。新型コロナの感染拡大に伴う行動制限が課されて、症例数にも影響が出た中国を除くすべての地域でプラス成長を記録し、特に欧州と北米の売上高の増加が顕著だった。
ちなみにオリンパスは、海外売上高比率が2022年3月期で85%程度に及ぶ、文句なしのグローバル企業だ。内視鏡の製品別では「EVIS X1」と呼ぶ消化器系新シリーズの販売が好調だったことに加え、一世代前のビデオスコープ(ビデオカメラを組み込んだ内視鏡)の需要も底堅かった。
世界的にコロナ禍からもとの日常生活へ徐々に回帰し、通常の医療受診が進んで、症例数が増えていることが背景にある。
内視鏡に次ぐ規模の「治療機器事業」は4~6月期に売上高が前年同期比13.7%増の723億円、営業利益は5.1%減の133億円だった。治療機器事業は、病変部の切除に用いられる機器など消化器系内視鏡検査の関連機器のほか、泌尿器系・呼吸器系の処置具などを含む。
これらの機器も「コロナ禍から日常」の流れの中で、売り上げが伸びている。営業利益が減ったのは、前年同期に一時的に計上した利益が今年はなかったことが影響している。
証券各社、相次いで目標株価引き上げ
上方修正は円安の影響を踏まえたもので、売上高が従来予想より510億円増の1兆190億円(前期比17.3%増)、営業利益が従来予想比250億円増の2310億円(50.1%増)、最終利益は従来予想比180億円増の1720億円(48.6%増)。営業利益、最終利益ともに2期連続での過去最高を見込む。
オリンパスの足元の業績について、証券各社のアナリストおおむね好反応だ。8月9日の決算発表以降、野村証券、メリルリンチ証券、ゴールドマン・サックス証券、シティグループ証券が相次いで目標株価を引き上げた。
通期の上方修正は円安を要因とするものだが、投資家の間では円安効果を超える一段の業績改善が期待されているといえそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)