「原発回帰」大転換した岸田首相、主要新聞が賛否両論...「タブー打破」「脱炭素に必要」「福島を忘れたか」「実現に疑問」

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産経と日経社説「方針の転換を歓迎」と評価

再稼働した九州電力の川内原発。再稼働している原発は西日本に集中
再稼働した九州電力の川内原発。再稼働している原発は西日本に集中

   政府のエネルギー政策大転換は、主要新聞の社説でも賛否が分かれている。

   いち早く「賛成」の立場を表明したのは産経新聞「【主張】原発新増設の容認 方針の大転換を歓迎する」だ。

「政府はこれまで、原発の新増設や建て替え(リプレース)をめぐっては想定していないとの立場を重ねて示してきた。次世代の原発の建設は、こうした方針を大きく見直すものである。首相の判断を歓迎する。
また、深刻な電力不足に対応し、首相は来年以降に新たに7基の既存原発の再稼働を目指す考えも表明した。こうした原発の早期再稼働は、東日本の電力供給に不可欠だ。原子力規制委員会の安全審査に合格しながら、地元の同意が得られていない原発について、政府が前面に立って再稼働への理解を求めることが必要だ」

と、特に東日本の電力不足の危機を強調している。そして、

「来年以降には7原発の追加再稼働も目指す。この中には、地元が再稼働に同意していない東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)や日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)も含まれる。
これまで国内では、規制委の安全審査に合格して10基の原発が再稼働を果たしている。ただ、これらはすべて西日本に位置し、原発が稼働していない東日本では電力不足が深刻化している。政府が早期の追加再稼働を主導し、電力の安定供給に努めてほしい」

と訴えた。

   日本経済新聞の「社説:原発新増設は安全重視で着実に進めよ」も岸田首相の「現実的な判断」を歓迎した。

「(原発)新増設に関して、政府はこれまで議論すら避けてきた。しかし、温暖化ガス削減とエネルギー安定供給を両立させるうえで、原発の役割は無視できない。
国内に原子炉は33基あるが、現在稼働中なのは6基だけだ。太陽光など再生可能エネルギーの導入は拡大しているが、それだけでは電力需要を賄いきれない。
温暖化ガスの排出が多い石炭火力も増やしづらい。今年3月には寒さと雪の影響で、6月には異常高温のために、首都圏などで電力需給が綱渡り状態となった。(中略)
まず、安全審査を通った17基すべてを早期に動かす必要がある。避難計画づくりの難航やテロ対策をめぐる電力会社の不祥事が再稼働を遅らせており、政府が前面に立って信頼回復と事態の打開に努めるべきだ」

   安全審査に厳しい原子力規制員会には、注文をつけた。

「原子炉等規制法は運転期間を原則40年と定め、一度だけ20年間延長できるとしている。延長しても2040年以降は使える原発が大幅に減る。もともと運転期間に科学的根拠はない。多くの原子炉は主要な機器や部品を交換ずみであり、実質的な安全性を重視した柔軟な対応を検討すべきだ」

   そのうえで、

「政府は原発を推進する根拠を丁寧に説明する必要がある。使用済み核燃料を地下深くに埋める地層処分や、核燃料サイクルのあり方など、未解決の問題も放置してはならない」

と、政府に国民に理解を求める努力を期待した。

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