「ダメ押し」になったロシアのウクライナ侵攻
朝日新聞「原発回帰前のめり」によると、こうだ。
「今回踏み込んだのは、原発を取り巻く状況が大きく変わったことがある。会議の政府側資料には『危機克服』という文言があった。ロシアがウクライナに侵攻し原油や天然ガスが高騰。ガソリンや電気料金が値上がりし家計を圧迫した。エネルギーを輸入に頼る日本のもろさが意識され、原発推進の声が一部で高まった。
脱炭素の流れも強まる。電力会社は火力発電所への投資には消極的で、発電能力が不足がちになっていった。今年3月には東電や東北電管内に初めて戦力需給ひっ迫警報が出た。政府は今夏、全国的な節電を要請し、冬に向けて消費者の不安が広がっていった」
そして、首相官邸幹部は朝日新聞記者にこう語ったと書かれている。
「脱炭素の流れのなかで2、3年前から電力需給は厳しい状況だった。ダメ押しとなったのがウクライナ侵攻だ」
一方、ロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギー危機に苦しむ欧州にも「原発回帰」の動きが広まっている。
日本経済新聞「電力確保・脱炭素へ選択 エネ確保、活用にカジ」がこう伝える。
「欧州ではエネルギー安全保障の観点から原発の活用にカジを切る国が増えた。英国は2030年までに最大8基を新設する方針を掲げた。フランスも50年に向けて大型原発を最大14基建設する方向だ」
そして、日本の状況も欧州と共通点があるという。
「LNG(液化天然ガス)輸入のうち1割ほどがロシアからだ。日本の商社が出資するLNG開発事業『サハリン2』から有利な価格で調達しているが、ロシア次第で供給が途絶する恐れがある」
ロシアに依存するこの状況は、経済安全保障の観点からも危険だというわけだ。