男性の意識も変化、日傘に「ためらいない」
男性の日傘が広がっているのは、やはり夏季の厳しい暑さが大きな原因といえる。
近年は最高気温が35度以上の「猛暑日」が珍しくなくなった。猛暑日の平均年間日数は1990年代半ば以降増加しており、最近30年間ではそれ以前と比べ、3倍以上も増えているという。
もっとも、日傘を使う効果は決して小さくない。
日傘をさせば、頭部の体感温度が4~9度も下がるという調査結果も出ている。健康を脅かすような暑さの中、熱中症などを防ぐ手軽なアイテムとして、日傘が見直されているようだ。
これまで日傘は、どちらかといえば、女性の「専売特許」といったイメージだったが、男性の意識も変化している。
男性専門の医療脱毛専門院「メンズリゼ」が2022年4~5月、10~40代の男性660人を対象に行ったアンケート調査によれば、男性が日傘をさすことについて、「肯定派」は79.7%にのぼった。このうち10代では89.6%と9割近くになり、日傘をさすことにためらいをもたない若者が広がっていることがわかる。
最近、日傘を買ったという東京都在住の50代の男性は「顔のしみが気になったことがきっかけだった」と購入の経緯を説明する。
メンズ日傘が拡大している背景には、暑さや熱中症対策だけでなく、紫外線を避けて肌のダメージを抑えたいという、美容意識の高まりも関係しているようだ。(ジャーナリスト 済田経夫)