年末に向け、インフレ圧力緩和につながる兆しがみられるが...
さて、「ジャクソンホール会議」のパウエル発言について、2本のリポートを発表、多角的に分析しているのが野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
石黒氏はリポート「ジャクソンホール会議と米物価動向(上)」(8月23日付)と、「ジャクソンホール会議と米物価動向(下)」(8月23日付)の中で、さまざまな最近の米経済指標を分析している。なかでも、インフレ圧力が和らいでいく期待を持たせるデータの1つとして注目したのが、全米ガソリン平均小売価格だ=図表3参照。
石黒氏はこう説明する。
「米家計の負担となってきたガソリン価格の上昇に一服感がみられていることも支援材料です。実際、全米ガソリン平均小売価格は、6月高値から直近で20%超下落しています(=図表3参照)。 商品、財価格の視点からは、年末に向けてインフレ圧力の緩和につながる兆しがみられており、過度な金融引き締め姿勢が徐々に和らいでいく可能性を示しているといえます」
そして、ジャクソンホール会議でのパウエル発言についてこう予測するのだった。
「ジャクソンホール会議では、FRBのパウエル議長がインフレ抑制に向け積極的な利上げを行なう姿勢を示すとみられます。ただ、一方で景気をふかしも冷やしもしない中立金利を大きく上回る水準にまで利上げを行なうことで、来年以降、FRBに利上げ停止の政策余地が生まれることも事実です。インフレや労働市場データなどを見極めながら冷静に投資していくことが求められそうです」
さて、注目のパウエル議長の講演が始まるのは米国時間で8月26日(金曜日)午前10時、日本時間では同午後11時だ。サプライズがあるかどうか、詳細が日本に伝わるのは27日(土曜日)の未明にかけてとなるが、週明けの株式市場にどんな影響を与えるのだろうか。
(福田和郎)