パウエル議長発言より、その後の経済指標に注目せよ
「パウエル議長は、利上げ継続が適切、ペースはデータ次第など、従来通りの見解を示すだろう」とみるのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏のリポート「米ジャクソンホール会議直前のチェックポイント」(8月23日付)でも、野村総合研究所の木内登英氏と同様に、今後発表される重要な経済指標に注目している。図表1のスケジュール表がそれだ。
市川氏はパウエル発言をこう予想する。
「まず、最近のパウエル議長の発言を振り返ると、7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、『継続的な利上げが適切と考えるが、ペースは今後の指標や経済見通し次第』、『金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれ、経済やインフレへの影響を評価しつつ、利上げペースを緩めていくことが適切』と述べています。
次に、8月17日に公表された7月FOMCの議事要旨をみると、7月27日のパウエル議長の発言は、FOMC参加者の考えであることが確認できます。以上を踏まえると、パウエル議長は今回の講演で、インフレ抑制のため利上げ継続は適切としつつ、利上げのペースはデータ次第で、利上げ効果浸透ならペース減速が、ある時点で適切になるという、従来通りの見解が示される公算が大きいと思われます」
その場合、9月以降の利上げペースを推測するのに重要なのが図表1だ。市川氏はこう続ける。
「9月FOMCでの利上げ幅について、市場では 0.5%か0.75%かで見方が分かれていますが、雇用や物価のデータ次第ということであれば(=図表1参照)、今回のパウエル議長の講演だけで見方が定まることは難しいとみています」
「あくまで1つの目安ですが、期待インフレ率(=図表2参照)の安定が続けば、9月FOMCでの利上げ幅は0.5%、その後の利上げ幅は縮小に向かう可能性が高まり、上昇が続けば、9月は0.75%、その後も大幅利上げ継続となる可能性が高まると考えています」
いずれにしろ、ジャクソンホール会議後の経済指標の動きに注目だ。