経営再建の行方は?...東洋経済「東芝の末路」、ダイヤモンド「軍事ビジネス&自衛隊」、エコノミスト「鉄道復活の条件」を特集

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防衛予算倍増は実現するか?

   「週刊ダイヤモンド」(2022年8月27日号)の特集は、「大激変! 軍事ビジネス&自衛隊 10兆円争奪戦」。

   ウクライナ戦争、そして現実味を帯びてきた台湾有事......。自民党は、防衛費をNATO(北大西洋条約機構)並みのGDP(国内総生産)比2%水準――すなわち、10兆円規模に引き上げる方針を打ち出した。

   2022年度防衛費予算は約5.4兆円でGDP比は0.96%だから、ほぼ倍増となる。そんなことが可能なのだろうか。

   降って湧いたチャンスを前に、陸海空の自衛隊や軍事関連企業が争奪戦を繰り広げようとしているという。

   防衛費のうち42%は人件・糧食費で占められている。約23万人いる自衛隊員の給与や退職金、食事に充てられている。では、予算激増でうるおうのはどこか?

   同誌では、防衛省契約高ランキング上位20社リストを挙げ、1位三菱重工業、2位川崎重工業、3位富士通、4位三菱電機、5位NEC、6位東芝インフラシステムズ......これらの企業のほか、炭素繊維技術を持つ帝人や東レなどを挙げている。

   ランキングにはおなじみの企業が並んでいる。だが、「宇宙・サイバー・電磁波(宇サ電)」という新しい戦闘領域が加わり、新興企業の台頭もありそうだ。

◆軍事事業から撤退する企業も

   防衛予算が増えるという流れの中で、軍事事業から撤退する企業があることを伝えている。

   自衛隊向けの主要航空機の電装品や部品を生産している島津製作所が撤退の意向を防衛装備庁や取引先メーカーに伝えたそうだ。だが、島津が供給する部品は、一つでも欠ければ航空機がつくれなくなり、メンテナンスにも支障が出るため、紆余曲折がありそうだという。

   実は、自衛隊向け装備品の価格は独特の入札ルールで決められており、企業にはあまりメリットがない。

   実際、日産自動車が固体燃料ロケットをIHIに事業譲渡するなど、防衛ビジネスから撤退した企業は少なくない。ある種の「ボランティア精神」で事業を継続してきたが、「もはやもうかりもしない防衛事業はやってられない」(大手防衛企業首脳)という声を紹介。国内防衛産業の弱体化が危惧される。

   防衛費が大幅に増えようとしているのに、肝心の防衛産業に撤退の動きがあるというのは驚きだ。どこに活路があるのか。同誌が防衛省や自衛隊などと直接取引している企業の実態を調査したところ、減収企業が増えていることがわかった。

   防衛省・自衛隊と取引先企業は長年の蜜月関係にあり、競争原理が働かないようだ。活路は「部品輸出」と結論づけているが、武器輸出に否定的な世論もあり、そう簡単ではない。

   そもそも防衛費をNATO並みのGDP比2%水準(10兆円規模)にするという方針は、正式に決まったわけではない。大きな掛け声の陰で、先細りしている防衛産業の実態が浮かび上がった。

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