来年まで続く「値上げラッシュ!」4社に1社が再値上げ 「客先からいきなり通知文」「値上げしても経営悪化」...どうなるニッポン経済?

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「他社と相見積を取られ、値上げすると契約取れない」

運賃値上げを荷主側に拒否されて苦しいという運送業界(写真はイメージ)
運賃値上げを荷主側に拒否されて苦しいという運送業界(写真はイメージ)

   一方、「値上げしたいが、できない」と回答した企業の声はこうだ。

「販売対象物が資源高などに直結していないため、消費者が納得しづらい」(個人教授所)
「物流費高騰と世間では値上げの材料にされているが、荷主は値上げの交渉に乗ってくれない運送会社の代わりはあるからと言われると交渉ができなくなる」(一般貨物自動車運送)
「食品運送業であるが、荷主企業も資材コスト等の上昇で値上げ要請を受け入れてもらえない」(一般貨物自動車運送)
「他社と相見積を取られることが多く、値上げすることで契約が取れないことが多い」(ソフト受託開発)
「賃料・共益費ともに契約によって決まっており、新型コロナの感染拡大で経営の厳しいテナントに改定の提案は難しい」(貸事務所)

   こうしたエネルギー価格や原材料費の高騰に加え、円安の加速が追い打ちになった結果、値上げを何度も繰り返すところも少なくない。

   今年1月から8月中旬までの値上げ回数を聞くと、「0回」が33.5%、「1回」が40.7%となった。また、「2回以上」が4社に1社の25.8%もおり、中には「5回以上」も3.8%いた=図表3参照

   企業からは、「仕入商品の値上がりにともない、その都度値上げを実施した」(塗料卸売、値上げ回数4回)といった声があがっていた。

(図表3)値上げ回数(帝国データバンクの作成)
(図表3)値上げ回数(帝国データバンクの作成)

   帝国データバンクではコメントしている。

「2022年8月以降に『値上げした/する予定』の企業は約3社に1社となり、4月よりすでに値上げを実施した企業と合わせると約7割にのぼった。(中略)一方で、値上げによる顧客離れに対する懸念などで企業の14.3%は値上げしたいが、できない状況にあった。また、『値上げはしているが、すべてが価格に転嫁できるわけではないので収益率は急速に悪化している』(動力伝導装置製造)といった声にあるように、すでに値上げした企業においてもコストアップ分すべてを販売価格に反映できていない状況がうかがえた」
高すぎてスーパーの買い物でも悩む(写真はイメージ)
高すぎてスーパーの買い物でも悩む(写真はイメージ)

   今後の動きについては、厳しくみている。

「エネルギー価格や原材料費などの上昇はとどまる気配を見せない。そうしたなか、為替動向の不透明感の高まりや深刻化する人手不足なども相まって、コスト増は続くと想定される。企業が厳しい状況を乗り越えるために適正な価格転嫁が急務となっており、今後も値上げの動きは続くであろう」

   調査は2022年8月12日~18日、インターネットでアンケートを行い、全国の1401社から有効回答を得た。うち大企業は175社(12.5%)、中小企業は1226社(87.5%)だった。

(福田和郎)

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