「値上げのスピードが、円安の速さに追いつかない」
それぞれ企業の声を聞くと――。
まず、「値上げ実施済み・予定」と回答した企業は、こんな声に代表される。
「あらゆる資材が毎月のように値上げされている状況では、その都度、販売先に値上げ交渉していては間に合わない。とりあえず仕入価格の値上がり分を値上げして、様子を見るしかないという判断になった」(配管冷暖房装置等卸売)
「メーカーからいきなり値上げの通知文があるが、その都度値上げに対応している」(精密機械 器具卸売)
「商品ごとに値上げの時期が違うため、その都度価格に転嫁できるよう得意先にはお願いしている。ビール類など報道されている値上げはお願いしやすい」(酒類卸売)
「既存商品は値上げすることを認めてもらえないが、新商品については、原価計算を行い価格設定している。スーパー関係では既存商品の値上げは大手企業には認めてもらえるが、小規模事業者は値上げを提出した時点で商品が打ち切りになる」(米菓製造)
「値上げを受け入れてもらえるクライアントもあれば、値上げを受け入れないクライアントもある。感覚では6割くらいが値上げ済み」(印刷)
しかし、値上はしたものの、経営的には苦しいところも少なくない。
「原材料や容器、運賃などの値上がりによって製造コストが大幅に上がったため、販売価格に転嫁した。ただし、販売先によっては競合他社の動向を見ながらなので転嫁できる幅が限られており、コストの値上がり分をそのまま転嫁できないケースも多い」(ゼラチン・接着剤製造)
「客先によって、円安でコストが上がった分をそのまま販売価格に転嫁できたが、一部商品については、値上げのスピードが円安のスピードに追いついていない」(乾物卸売)
といった悩みが聞かれた。