2023年卒大学生・大学院生の就職活動が追い込みに入った。かつてない猛暑と豪雨が交錯する悪条件のなか、学生たちの奮闘が続いている。
そんな状況で、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2022年8月19日、2023年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「2022年8月1日時点 内定状況」を発表した。
8月1日時点で早くも内定率約8割、進路確定率約9割近くに達しており、2017年卒以降最も速いペースで進んでいるが、まだの学生も2割強。突破口の「秘訣」があるぞ!
ダントツに進路確定が早いIT、製造・サービス業も続々
就職みらい研究所によると、就職内定率(大学院生を除く)は87.8%で、昨年(2022年卒対象)の同じ時点の85.3%に比べ、2.3ポイント上回るペースだ=図表1参照。理系が89.3%と、文系の87.2%を2.1ポイント上回っている。また、女性(88.5%)のほうが男性(87.2%)よりも内定率がやや高いことが目につく。7月1日時点では男性のほうが高かったから、追い込みで逆転したかたちだ。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が27.1%と、ダントツに高いことが特徴だ=図表2参照。ITスキルを持つ人材は、世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外からも誘いの手が伸びる。また、IT業界は就活ルールを定める日本経済団体連合会に属していないベンチャー系企業が多いといわれ、一般に「内定出し」が早い傾向があることも大きいようだ。
次いで、製造業(機械器具以外、15.2%)、機械器具製造業(14.4%)、サービス業(14.3%)、金融・保険業(12.1%)、小売業(11.4%)と続く。製造業やサービス業関連は、コロナ禍が一段落したことで、業績が上向いている企業が多いことを反映しているようだ=再び、図表2参照。
内定を取得した企業数をみると、平均2.40社で、1社が36.8%と一番多いが、4社以上が計18.3%、6社以上も5.1%。優秀な学生は早くから多くの企業から内定をもらっていることがわかる=図表3参照。
まだの学生は「活動内容の見直し」突破口に!
一方、すでに就職先の企業を決めた進路確定率も8割近い75.2%と、就職活動が終盤戦に入ったことがうかがえる=図表4参照。こちらも、昨年の同時点(73.6%)より1.6ポイント高い。
就職確定先企業の業種をみると、やはり情報・通信業が24.8%とダントツに高い。次いで金融・保険業(11.1%)、製造業(機械器具以外、11.0%)、機械器具製造業(同)、サービス業(7.9%)と続く=図表5参照。
さらに、「エントリーシートなどの書類を提出した」「適性検査や筆記試験を受けた」「面接などで対面での選考を受けた」などの就職活動実施率をみると、8月1日時点では20.7%で、7月1日時点の40.1%、6月1日時点の47.1%に比べると、大きく減っている。就職活動のピークが過ぎたことがうかがえる。
しかし、内定未取得者に限った就職活動実施率をみると、82.9%とまだまだ戦いが続いているのだ。今後は内定取得者の企業絞り込みと、内定を得られていない人の追い込みが進みそうだ。
就職みらい研究所の栗田貴祥所長は、こうコメントしている。
「就職志望者全体のうち、8月1日時点で就職活動を実施している割合は20.7%です。内定取得に向けて活動を継続している学生の皆さんは、内定が思うように得られず悩むこともあるかと思います。自分のことをよく知る友人や保護者、大学のキャリアセンターなどに相談し、うまくいっていない理由を分析したうえで、伝え方の工夫や志望先の再検討を行うなど、活動内容を見直してみることが突破口となる場合もあります」
こうアドバイスをしたうえで、
「暑い日が続きますが、納得して就職活動を終えられるよう引き続き頑張っていただきたいと思います」
とエールを送った。
調査は、2022年8月1日~3日、2023年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生7628人(大学生6255人・大学院生1373人)にアンケートした。
(福田和郎)