フェルミ推定の「基本体系」解説
著者である脇田さんたちは、最初、「フェルミ推定ってうさんくさい」と思っていたそうだ。だが、1000問以上解いて、その有効性がわかったという。
フェルミ推定には「基本体系」がある。「ストック問題」と「フロー問題」に大別され、前者には「所有アプローチ」(個人・世帯ベースと法人ベース)と「存在アプローチ」(面積ベースとユニットベース(国、自治体、駅など)、後者には「マクロ売上推定(主に需要サイドから推定)」と「ミクロ売上推定(主に供給サイドから推定)」がある。
たとえば、「日本における自動車の数」はストックであり、「日本における自動車の市場規模(年間)」がフローだ。
実際に解いていく際には、前提確認、アプローチ設定、モデル化、計算実行、現実性検証という5つのステップで進めていく。詳しくは本書を読んでいただきたい。
本書には「日本にピアスはいくつあるか?」「日本に電柱は何本あるか?」「ゲームセンターの売上は?」「日本に中華料理店はいくつあるか?」など、15の例題とその解き方が載っている。
フェルミ推定の考え方を身につければ、実生活で「あれはいくつくらいあるのかな?」と疑問を持ったときに、概数を短時間で推定できるようになる。
巻末には「日本に海水浴場はいくつあるか?」「日本に通訳は何人いるか?」「キャバクラの売上」など厳選した100問が載っている。いい頭の体操になるだろう。
(渡辺淳悦)
「現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」
東大ケーススタディ研究会著
東洋経済新報社
1595円