トップの姿勢が組織風土をつくる
一連の不祥事を生んだスシローの組織風土の乱れは、このようなトップの無責任な姿勢が反映されたものと考えたくもなります。トップが無責任な態度をとるなら、おのずと下の者も「上に倣(なら)え」状態になるものであり、そんな負の連鎖が悪い形で現場対応に現れてしまったのではないか。だとすれば、問題は非常に根深いと思うのです。
そもそもの始まりは、今をさかのぼること15年前に、当時のオーナー家の兄弟喧嘩とそれに起因した度重なる資本移動にありそうです。経営陣の内乱・紛争が組織にいい影響を与えるわけがなく、これが「百害あって一利なし」であるということは、とくに強調しておきます。
その後、経営は一族の手を離れ大株主が海外資本を含めたファンドの間で転々とする中、さらに同業との提携発表と、その解消などのドタバタもあって、上場した現在も大株主の上位に名を連ねるファンドと、雇われ経営者による業容拡大至上主義の落ち着きのない経営が続いているといえそうです。
スシローにおいては、利用者に多大な迷惑をかけ、深刻な顧客離れが生じるような不祥事が相次いだ以上、これを機に、一から組織風土を作り直すぐらいの覚悟を持って風土改革に取り組むことが必要でしょう。まずは早期にトップ自らによる、責任の所在の明確化と組織風土改革に向けた決意を内外に示すような会見の実施が望まれるところです。
一般の企業経営者においては、この一件から、組織風土に及ぼしているさまざまな影響の大きさを、自らにひるがえって強く認識してほしいと思います。
(大関暁夫)