日本が誇るアニメ業界ピンチ! 4割赤字、コロナ禍で進んだ「大手、中小格差拡大」「大手同士のIPビジネス戦争」

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コロナ禍で伸びた動画配信サービス

   さて、帝国データバンクの調査に戻ると――。

   2021年のアニメ業界は、劇場版を中心に多くのヒットがあった。1995年に放映開始した国内屈指の大型アニメ完結作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開に加え、海外でもメガヒットした『鬼滅の刃 無限列車編』など、明るい話題が多かった。

   しかし、市場規模(事業者売上高ベース)としては、2021年は前年(2633億円)を5.2%下回る2496億円万円となった。2020年に続く2年連続の市場縮小だった。2年連続減少は、データのある2000年以降で初めてだ=図表1参照

(図表1)アニメ制作市場の推移(帝国データバンクの作成)
(図表1)アニメ制作市場の推移(帝国データバンクの作成)

   日本動画協会によると、2020年のテレビアニメ制作本数は278本となり、4年連続で減少した。これは、コロナ禍によってアニメ制作現場がひっ迫したことが大きい。制作スケジュールの遅延も重なり、2010年代アニメブーム初期の水準まで落ち込んだ。

   ただ、2021年のテレビアニメは、2020年の『鬼滅の刃』クラスのメガヒットはなかったが、各ジャンルで安定して人気を獲得した作品が多かった。シリーズ最新作の『ラブライブ!スーパースター!!』、スマホゲームで人気が急上昇した『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』など話題作が多い。

   2022年シーズンも『SPY×Family』『パリピ孔明』など人気作が出ているほか、ショートアニメでは『八十亀ちゃんかんさつにっき』など、SNSやスマホゲームと連動した複合メディアミックス型の作品が新たなファン層の獲得や人気の底上げに結び付いている。

映画にポップコーンは欠かせない(写真はイメージ)
映画にポップコーンは欠かせない(写真はイメージ)

   一方、2021年の劇場版アニメ市場は、コロナ禍による公開延期や、劇場の休業・座席制限など厳しい状況が続いたものの、2021年から続いた『鬼滅の刃 無限列車編』の爆発的ヒットが追い風となり、史上3番目の高水準となった。

   2021年のアニメ市場で最も躍進したのはアニメ配信市場で、過去最高の930億円を記録した。コロナ禍のステイホームで、定額動画配信サービスの利用が普及、浸透したことが主な要因だ。

   このため、日本アニメ制作会社が海外の動画プラットフォーマー、制作企業と取引を行うケースが増えている。とくに、Netflixやアマゾンなど米国を拠点とする動画プラットフォーマーへのアニメ作品提供や、独占配信などの直接契約・取引といった機会が急増、米国依存が強まっている。

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