日本が誇るアニメ業界ピンチ! 4割赤字、コロナ禍で進んだ「大手、中小格差拡大」「大手同士のIPビジネス戦争」

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   「ANIME」(アニメ)は海外でもそのまま通じる、日本が誇るグローバル文化だが、アニメ制作に苦境が続いている。

   帝国データバンクが2022年8月12日に発表した「『アニメ制作業界』動向調査(2022)」によると、制作企業の「赤字」の割合は約4割に達し、2年連続で市場規模が減少に転じている。

   いったいアニメ制作業界に何が起こっているのか。

  • 子どもも大人も大好きなアニメだが…(写真はイメージ)
    子どもも大人も大好きなアニメだが…(写真はイメージ)
  • 子どもも大人も大好きなアニメだが…(写真はイメージ)

日本独自のアニメ制作ピラミッドシステム

   帝国データバンクのリポートを説明する前に、ざっと日本独特のアニメ制作システムのおさらいをしておこう。

   大手アニメ制作会社の始まりは1962年、漫画家・手塚治虫が設立した「虫プロダクション」(虫プロ)といわれる。翌年、虫プロの制作によってテレビアニメ「鉄腕アトム」(フジテレビ系)がスタートした。

   しかし、テレビシリーズは30分作品を月に4本以上つくらなければならないため、すべての制作工程を請け負うとなると、社内に大量のスタッフを抱えなければならず、費用は莫大なものになる。

   そこで分業システムが発展した。社内のスタッフ以外にも、外部の作画スタジオ、音響スタジオなどに第1話から4話まではA社に、第5話から7話まではB社にといった風に外注を行なうことが通例になった。これが、下請けのアニメ専門スタジオだ。

アニメは子どもを夢の世界に連れて行く(写真はイメージ)
アニメは子どもを夢の世界に連れて行く(写真はイメージ)

   一方、元請けの制作会社は、テレビシリーズ全体の制作管理・進行をしつつ、自社でもアニメ作画などを行っていたが、中には内部に作画制作者などを抱えずに、プロデュースと企画、営業、制作管理だけを行なう会社も登場するようになった。

   また、アニメ専門スタジオの中にも、外注の下請けをこなしているうちに制作管理・進行能力を身に着けて、テレビシリーズまるごとは無理だが、1話単位でなら制作の責任を持てる会社も登場してきた。これが「グロス請け」と呼ばれる制作会社だ。グロスは英語の「gross」(全体の、まとめて)に由来する。

   つまり、日本のアニメ制作は現在、テレビ局や映画会社から制作を丸ごと引き受ける「元請け」が頂点にあり、その下に一部分の制作管理・進行に責任を持つ「グロス請け」があり、さらにその下に実際に現場で制作を行う「専門スタジオ」があるというピラミッド型になっているわけだ。

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