政府期待の「革新軽水炉」...経産省、2030年代運転への「工程表」示す だが、「新増設せず」の従来方針と矛盾...原子力政策の見直し進むか?

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岸田首相、原発「再稼働とその先の展開策」示すよう指示

   今回の工程表の文書には、

「福島第一原子力発電所事故以降、原子力開発の体制やそれに関わるサプライチェーンが脆弱化してきており、原子力開発全体の活動度の低下が見られている。こうした中、開発の方向性を明確化する材料が得られず、さらに方向性が不明瞭になるという悪循環に陥っている」

との問題意識が書かれている。

   さらに、

「『カーボンニュートラル達成・エネルギー安全保障への貢献等といった社会的価値の実現』を、原子力を開発・利用していく上での中長期的な根拠・目標として明確化していく。その上で、産業界・大学・研究機関等の様々なステークホルダーの意思決定に資する、リソース配分の目安や開発の時間軸を共有することが必要」

と、工程表の位置付けも記されている。

   要約すると、脱炭素のためには原発が必要であり、そのための新たな原発の開発が不可欠であり、これを推進するための人材や供給網を維持・発展させていくための工程表を作成した――ということになる。

   ただ、これは、いまの政府の方針とは整合しない。原子力小委でも、委員から「原発の新増設、建て替えは想定しない」とする政府の方針と矛盾する、との指摘が出されたという。

   原子力小委に先立つ7月27日、脱炭素社会への投資などの司令塔となる政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の初会合で、岸田首相は原発について「再稼働とその先の展開策」を示すよう指示している。

   再稼働は、冬の電力逼迫への対応もあって、「9基再稼働」を表明済みで、「その先の展開」が、まさに今回の工程表ということだろう。

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