政府期待の「革新軽水炉」...経産省、2030年代運転への「工程表」示す だが、「新増設せず」の従来方針と矛盾...原子力政策の見直し進むか?

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

必要な安全対策、従来の延長線上にある

   原発は一般的に、実験炉→原型炉・実証炉→商用(実用)炉の順に開発が進むので、これに沿って工程表のポイントを列記すると、次のようになる。

革新軽水炉(既存の大型軽水炉をベースに安全性を高めたもの)=2030年代に商用炉
小型軽水炉(SMR=軽水炉より出力が小さく、事故の際も冷却しやすい)=2040年代に実証炉
高速炉(ナトリウムなどを冷却剤に使い、使用済み核燃料を再処理した燃料で発電)=2040年代に実証炉
高温ガス炉(ヘリウムを冷却材に使い、冷却機能を失っても水素爆発を起こさず、燃料溶融もない)=2030年代に実証炉
核融合炉(水素原子の核融合を活用、事故時に熱の発生が速やかに止まる)=2050年以降

   今回の工程表は、「革新軽水炉は世界的にも建設・運転が進む既存軽水炉の技術の延長線上にあり、最も技術成熟度が高い。小型軽水炉も軽水炉の延長線上にあり、海外で2030年頃の初号機運転開始が計画されているが、不確実性もある」と記し、革新軽水炉に最優先で取り組む考えを打ち出した。

   革新軽水炉の既存炉との違いは、(1)耐震性を強化、(2)航空機が衝突しても耐えられる、(3)炉心冷却の手段を多様化――などだ。既存の技術や国内の部品などの供給網(サプライチェーン)を生かせるうえ、必要な安全対策が従来の延長線上にあることから、実現可能性が高いとみている。

姉妹サイト