乳業大手の森永乳業の株価が、2022年8月10日の東京株式市場で一時、前日終値比315円(7.0%)安の4370円まで下落し、2年3か月ぶりの安値となった。
前日9日の取引時間中の午後2時に2022年4~6月期連結決算を発表。最終利益が前年同期比68.2%減の29億円にとどまったことなどへの失望売りが続いた。
消費者向け商品の値上げが浸透せず、販売に苦戦していることが嫌気されている。
4~6月期連結決算...値上げ&円安でやや増収も、営業利益は減少
それでは9日発表の4~6月期連結決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比1.6%増の1303億円、営業利益は36.2%減の62億円だった。
全体としてやや増収になったのは、業務用乳製品などを扱う「BtoB事業」で値上げがある程度受け入れられたほか、海外事業が円安の進行によって円ベースの売上高が増えたことによる。
ただ、BtoB事業も海外事業も売上高が増えたにもかかわらず、原材料・エネルギー価格の上昇などを受けて、営業利益が減少(BtoB事業は37.2%減、海外事業は11.2%減)だから、なかなか厳しい状況だ。ちなみに、森永乳業の海外売上高比率は2022年3月期で9%程度にとどまっている。
一方、中期経営計画で掲げる「4本柱」の残り2つ、「主力食品事業」と「栄養・機能性食品事業」はもっと深刻だ。
なかでも「主力食品事業」は、チーズやアイスクリーム、飲料、プリンなど一般消費者向けの事業で4本柱のうちの最大の柱だが、売上高は前年同期比7.5%減、営業利益は53.8%減と振るわなかった。
2月に値上げしたコーヒー飲料「マウントレーニア」の販売が前年同期比マイナスとなったほか、4月に値上げした家庭用チーズも低調だ。アイスクリームは、6月の値上げ後の需要期に売り上げを前年同期より落とした。
電気代など、各種の値上げが家計を圧迫するなかで、嗜好品の値上げは消費者に受け入れられにくくなっている可能性がある。