世界経済、景気後退の崖っ縁? 中国の減速、エネルギー価格上昇、先進国の金融引き締めが招きかねない「債務危機」

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   世界経済は景気後退の崖っ縁――そんな悲観的な見方が広がっている。

   世界各国の中央銀行のとりまとめ役である国際通貨基金(IMF)は、世界経済の国内総生産(GDP)の実質成長率が2021年実績の6.1%から22年は3.2%に半減し、23年は2.9%と、さらに減速するとの見通しをまとめた。

   4月時点の前回見通しでは22年は3.6%だったが、世界的なインフレとそれに対応する米欧の利上げ、中国のロックダウン(都市封鎖)が逆風になって、0.4ポイントの大幅下方修正になった。

  • 世界経済は景気後退の崖っ縁なのか…(写真はイメージ)
    世界経済は景気後退の崖っ縁なのか…(写真はイメージ)
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IMFチーフエコノミスト「世界同時不況の淵に立たされるかもしれない」

   IMFは四半期ごとに「世界経済見通し」を発表しているが、22年に入ってから、見通しは「つるべ落とし」というべき状況だ。

   22年の成長率の見通しを21年10月、前々回(22年1月)、前回(4月)、今回(7月26日)と順にみると、

米国「5.2%→4.0%→3.7%→2.3%」、ユーロ圏「4.3%→3.9%→2.8%→2.6%」、英国「5.0%→4.7%→3.7%→3.2%」、日本「3.2%→3.3%→2.4%→1.7%」、中国「5.6%→4.8%→4.4%→3.3%」、新興国・途上国「5.1%→4.8%→3.8%→3.6%」

など、軒並み大きく引き下げた。ロシアは「2.9%→2.8%→▲8.5%→▲6.0%」とマイナスに転落。世界全体では「4.9%→4.4%→3.6%→3.2%」となっている。

   IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は今回の見通しを発表した7月26日の記者会見で、「4月以降、見通しが大きく暗転している。世界はまもなく世界同時不況の淵に立たされるかもしれない」と指摘した。

   下方修正の最大の要因は、進行するインフレだ。

   6月の消費者物価指数の上昇率(前年同月比)は、米国が9.1%、欧州が8.6%。新興・途上国も4~6月期のインフレ率が10%に迫る水準だった。

   IMFは今回の見通しで、22年の先進国の平均インフレ率を前回予測よりも0.9ポイント高い6.6%に引き上げた。エネルギーや食料をはじめ幅広い商品が値上がりし、経済成長の柱の個人消費を鈍らせている。

   インフレに対応して、欧米の中央銀行は金融引き締めに急ハンドルを切っている。

   米連邦準備制度理事会(FRB)は7月まで3会合連続で利上げを実施。欧州中央銀行(ECB)も11年ぶりの利上げに踏み切った。経済の過熱を抑え、物価を押し下げる狙いだ。IMFも平均インフレ率が23年には5.7%に下がるとみる。

   だが、急激な利上げは、企業の資金調達コスト増や、住宅ローン金利の上昇などで景気を失速させる懸念もある。

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