「暗号資産」「メタバース」と並び、「NFT」という言葉をニュースで見ない日がなくなった。
世界でたった1人、自分だけを記録するデジタルデータだが、新たなビジネスとして世界的ブームが広がっている。しかし、いったいどれだけの日本人が利用しているのか。
デジタル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年8月16日、「NFT(非代替性トークン)に関する調査」を発表した。
それによると、「NFT」を知っている人は30.8%。現在持っている人は3.2%だという。それって多いの? 少ないの?
ティファニーのジュエリーから神社のお守りまで
「NFT」はNon-fungible Token(非代替性トークン)という新たな認証技術だ。例えて言うなら、作家が自身の作品に付ける「証明書」のようなもの。暗号資産に使われる技術(ブロックチェーン)を応用した。ブロックチェーンの中に個別の識別サインが記録されているので、量産が可能な暗号資産と違って代替不可能なのだ。
つまり、世界にたった1つ、自分だけのものを作ることができるわけだ。そのため、特定の作品だけをオリジナルとして販売することができるようになり、新しいビジネスモデルとして脚光を浴びている。
たとえば、米国のデジタルアート作家、マイク・ウィンケルマンのNFT作品が2021年3月、約75億3000万円で落札されて話題になった。今年8月5日には高級ジュエリーブランドのティファニーが250個限定(1個約650万円)でNFTコレクションを発売すると、開始後数十分で完売した。
アートやファッションのほか、ゲームアイテム、トレーディングカード、音楽、各種の会員権など、さまざまな分野でNFTの新規ビジネスが立ち上がっている。メタバース(仮想空間)との相性がいいこともブームの理由だ。
いかにNFTの利用ジャンルが広いか、ここ数日、日本国内だけのニュースやプレスリリースの見出しを拾うと――。
(8月16日)「デジタルお守り、NFTとして授与 千葉市の検見川神社」 (8月16日)「新たな歴史の幕開け! 大人気!カワウソの妖精【ちぃたん☆】が遂にNFTとして登場!」 (8月16日)「NFT×渋谷をテーマにしたイベント「PARDEY BASE SHIBUYA -NFT展示2.0-」開催決定!」 (8月16日)「(スポーツBUSINESS)ファンとつながる『証明書』 NFT動画・画像の可能性」 (8月16日)「パ・リーグの名場面NFT、購入者に抽選で始球式投球権」 (8月15日)「世界初!東京・後楽園ホールのプロレス王座挑戦権、NFTデータで発行」
こういった案配だ。