今回は、インサイドセールス活動のセカンドステップです。前回(社内に眠れる「宝の山」顧客情報、ベストな使い方は? メールニュース送付で「問い合わせ」増えた具体事例とは〈その4〉(大関暁夫))、インサイドセールス活動の基本として、リスト先に対して月1回程度ニュースメールを送付する話をしましたが、今回は通常とは異なる呼びかけをすることで、ニーズのある先をあぶり出すステップを紹介します。
効果的な著名人の起用...自社ニーズにつながる人選を
このステップの代表的な手法として、大手企業などがよくやっている、自社主催のオンラインセミナー開催(ウェビナーとも言う)の案内を出す、というやり方があります。
オンラインセミナーは基本無料で、メールニュースと同じくテーマにストレートなセールス色を感じさせないものを選ぶ必要があります。最近は、オンラインセミナー花盛りなので、聞いてみたくなるような特別感のあるものや、無料で聞けることにお得感があるものでないと、参加者は集まりません。
社内で企画、セミナーシナリオ検討、登壇まで完結するのが難しい場合は、外部の専門家にテーマを振って登壇をしてもらうことも選択肢になります。
この場合、登壇料を支払って依頼する形となりますが、この費用は新規開拓目的の必要な宣伝広告費として考えてください。コストはかかりますが、著名人や著名経営者などに登壇をお願いすれば、その集客効果は一層上がるでしょう。外部登壇者選択の相談は専門のセミナー講師派遣業者が請け負ってくれますので、テーマ、予算などを含めて相談してみるのも一考です。
外部の登壇者にお願いする場合、話してもらうテーマは自社のセミナーとして違和感のない、何らかのつながりがあることが重要です。
セミナーは単に多くの集客をすればいいというわけではなく、どんなにおもしろそうで興味を引くテーマであっても、自社のイメージや事業に全くつながらないものでは、参加動機に自社に対するニーズのひっかかりがないので、受講後の関係づくりにつながらないからです。
たとえば、営業支援ツールや営業コンサルティングを生業とする企業の場合、単純に人気アスリートに登壇してもらうのは、集客はできても自社ニーズの有無を探る点からは難しいかもしれません。
しかし、登壇者が過去のサラリーマン時代に営業経験のあるアスリートならば、営業経験の中で競技活動上役に立っていることなどを話してもらう、というようなアレンジは可能であると言えます。取引確度が低い人をはじめから排除する意味から、セミナータイトルに自社ビジネスにつながるようなキーワードを含ませておくのがいいでしょう。
オンラインセミナーの参加受付の際には、参加者の会社名、所属部署、氏名、メールアドレスなどの基本情報を収集します。できればこの段階で、オフィスか携帯の電話番号とセミナーテーマに関連した参加理由(選択式で可)までは収集したいところです。
電話番号は受講後にメールという文字でのやりとりから、会話というリアルタイムのやりとりに関係を発展させるポイントを握っています。参加理由は、申し込み時に自社の製品やサービスに関心があるか否かを判断する材料として、必ず取っておきたい情報でもあります。
セミナー終了後のアンケート、回収率を上げるためには?
セミナー終了後にはアンケートを実施します。アンケートの回収率を上げるためには、アンケート回答者への特典を用意するという手段が有効です。
自社の製品やサービス領域に関心がある人ならば欲しいと思うような、社内の調査データや分析の類、あるいは外部から入手したデータをアレンジした業界レポートなどを用意して、アンケート回答者に無料提供するのです。
このやり方によって、アンケートの回収率が上がるとともに、セミナーに参加してアンケートに回答してくれた人は、自社の製品やサービスに関心がある確率がより高いという推測もできるからです。
セミナーなどわざわざ手間やコストをかけてやらなくとも、特典付きのアンケートだけをやったらどうなのか、とお考えの向きもあるかもしれません。確かに、回答者特典を付けるなら、アンケート依頼メールだけでもある程度アンケート回答を得ることは可能ではあります。
しかし、その先の接点拡大やセールスの場面まで想定した場合には、早めに自社に対して親近感を持ってもらうことは大変重要であり、自社主催のセミナーに参加するという「体験」は、自社に対し親近感を感じてもらう大きなキッカケになることは間違いないのです。この親近感が、アンケートの回収率を高めてくれることも間違いありません。
申込み時の事前調査やアンケートで少しでも自社が対応できる課題やお悩みをお持ちと思われる参加者に対しては、次のステップを用意します。
入手した電話番号にアクセスし、具体的なアポイントにつなげるのがこのステップです。セミナー参加の御礼とアンケート記載内容を確認して、リアルで一度お話をうかがいたい旨を申し出て、リアル面談の希望を申し出ます。
2回目以降はオンラインでもいいのですが、やはり営業面談はリアルの方がより多くの情報のやり取りができるので、どのような営業においても初回はリアル面談をとり付けることが成約への近道なのです。
基本はここまでがインサイドセールス・チームの仕事です。
もちろん、最後のアポイント取りからフィールドセールス・チームにバトンタッチをするというやり方も可能です。しかし、フォールドセールス・チームの活動の効率性とアポ取り確度の点から、アポイント取りまでをインサイドセールス・チームが担当する方がいいと考えます。
アポ取り確度に関してはインサイドセールス・チームが慣れてくると、スムーズなリアルアポイント取りのコツがつかめてくるからです。フォールドセールス・チームは、次のステップであるリアルでのニーズヒアリングから、具体的な営業活動をスタートさせることになります。
(大関暁夫)
●「社内に眠れる『宝の山』顧客情報」シリーズ
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ発掘を! 「オンライン営業」時代のいまこそ最大活用できる!〈その1〉(大関暁夫)
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ活用を! 関係づくりの第一歩に...担当者メールアドレス知る手堅い方法〈その2〉(大関暁夫)
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ分類を! メールで顧客との「接点拡大」どうしたら狙えるか?セオリーは?〈その3〉(大関暁夫)
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、ベストな使い方は? メールニュース送付で「問い合わせ」増えた具体事例とは〈その4〉(大関暁夫)