マイナスの理由、「コスト負担増」が約8割
円安が自社の業績に「マイナス」の影響を与えると回答した企業にその理由を聞くと、「原材料価格の上昇でコスト負担が増えた」が79.2%と、最も高かった。また、「燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増えた」も72.6%と、原材料価格や燃料・エネルギー価格の上昇をあげる企業が突出していた。
次いで、38.7%の企業が「コストを販売・受注価格に転嫁できず収益が悪化した」ことを理由にあげ、不十分な価格転嫁が収益の悪化につながっていた。その一方で、「コストを販売価格に転嫁して売り上げ・受注が減った」(9.1%)が1割近くとなり、価格転嫁を進めたことによる売り上げの減少が響いている様子もうかがえる(いずれも、複数回答)。
企業からは、
「海外子会社への送金で、為替差損が発生している」(金型・同部品等製造、神奈川県)
「消費者心理の冷え込みで売り上げが減った」(医薬品製剤製造、東京都)
などの声が寄せられ、原油・原材料のコスト増や価格転嫁の影響に加えて、為替差損や消費マインドの低下なども下押し要因となっている。
一方、「プラス」の理由をみると、4社に1社(26.3%)が「海外での販売価格(現地通貨ベース)が下がり売り上げが増えた」と答えてトップ。次いで「海外事業の円ベース利益が増えた」(22.7%)、「取引先の業績が改善した」(20.5%)、「輸出競争力が高まり輸出が増えた」(20.3%)が続いた。
ただし、プラスの影響であげる理由は企業規模による差が大きく、「海外事業の円ベース利益が増えた」は「大企業」で44.6%だったが、「中小企業」は18.2%と、2.5 倍もの差がある。また「海外での販売価格が下がり売り上げが増えた」は、「大企業」(32.6%)が「中小企業」(25.0%)を7.6ポイント、「小規模企業」(18.1%)を14.5ポイント上回った。海外での販売や海外事業の円ベースの利益増は「大企業」を中心に表れている。
なお、調査は7月15 日~31日に実施。調査対象は全国2万5723社で、有効回答は1万 1503社(回答率44.7%)だった。