倒産件数が増加している。新型コロナウイルス対策で実施された実質無利子・無担保融資などの返済が徐々に始まる一方で、企業倒産件数は前年同月比で増加を続けている。さらにこれから、企業倒産は大幅に増加する可能性をはらんでいる。
3年間の期限付き「利子免除」...23年春から支払い発生
新型コロナ対策で政府は、資金繰り支援策として、実質無利子・無担保の融資(ゼロゼロ融資)を打ち出した。ゼロゼロ融資は2020年3月から政府系金融機関でスタート、同年5月からは民間金融機関での取り扱いが加わった。
日本銀行の貸出・預金動向によると、2020年1月に545兆199億円だった金融機関の貸出残高は、2022年4月には584兆5162億円と約30兆円も増加した。とくに、2020年5月には前月比伸び率が突出して上昇している。これは、民間金融機関でゼロゼロ融資が開始されたことによる=表1。
ゼロゼロ融資は無担保のうえ、最初の3年間は実質金利がゼロで、最長5年まで元本返済が猶予される据え置き期間が設定されている。
すでに民間金融機関での取り扱いは2021年3月で終了したが、政府系金融機関は2022年9月末まで取り扱いが継続されている。財務省によると、ゼロゼロ融資の残高は2021年末で約42兆円にのぼっている。
地方銀行関係者は、「政府のお墨付きで、基本的に銀行に貸倒れリスクがないため、通常では融資できないような財務内容の企業に対しても、積極的に融資が行われた」と証言する。
ゼロゼロ融資は最長5年まで元本返済が猶予されるが、猶予期間を先延ばしすれば、返済が始まってからの負担が大きいため、多くの企業は猶予期間を1~2年に設定している。
これは、金利ゼロ期間が終了し、政府系金融機関では2023年3月から、民間金融機関では2023年5月から金利が付くため、なるべく金利がゼロのうちに返済をしよう、という動きがでているためだ。