政府発表「GDPやっとコロナ前回復」にエコノミスト異議あり! 「所得の面では落ち込み」「統計にミスリード」「世界同時不況の足音」

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「コロナ」「物価高」「世界同時不況」3つの逆風が襲来

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来年、世界同時不況が来る?(写真はイメージ)

   では、日本経済はこの先、どうなるのだろうか――。

   「3つの逆風が待っている」と警戒するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「日本経済はプラス成長軌道に復すも先行き3つの逆風。来年にかけ世界同時不況入りも」(8月15日付)によると、次の「3つの逆風」が襲ってくるという。

   (1)まず、新型コロナの第7波の拡大。重症化リスクが比較的小さいことから、政府は行動制限を打ち出していない。そのため、感染者、濃厚接触者が入院や自宅待機を迫られる中、エッセンシャルワーカーを中心に働き手が不足し、それが供給面から経済活動を大きく制約する問題が生じている。

   訪日外国人の入国規制緩和が景気浮揚効果を発揮すると期待されていたが、現状では入国者数も限定的で、感染の再拡大が入国者増加の障害となっている。

   (2)次に、高い物価率が個人消費の強い逆風となっている。大企業の夏のボーナスが大幅に増加したことが、7~9月期の個人消費の好材料だったが、物価高懸念と感染再拡大によってかなりの部分が打ち消される。

   物価高が長期化し、賃金上昇が追い付かない状況が長く続くと、消費者は防衛的な傾向を強め、個人消費は一気に腰折れしてしまう。政府のガソリン補助金、節電ポイントなどは、消費者の懸念を緩和することには役立たない。その役割を担うのは金融政策だ。日本銀行は、物価の安定について、強いコミットメントを打ち出すべきだ。

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オミクロン株の拡大が景気回復の逆風に(写真はイメージ)

   (3)世界経済同時不況の可能性がある。米国は歴史的な物価高を受けた急速な金融引き締めが、経済の大きな逆風となりつつある。欧州は、ロシア産エネルギーの輸入規制・禁止措置に伴う、エネルギー不足が経済活動を大きく妨げている。中国は、不動産不況が続く中、今年4~6月期にゼロコロナ政策の下で一時的に景気後退状態に陥った。

   そして、木内氏はこう警告するのだった。

「各国・地域で景気後退入りのタイミングにずれはあるものの、来年には揃って景気後退に陥る、世界同時不況となる可能性が相応に高まっているのではないか。そうなれば、日本経済だけが成長を続けることはほぼ考えられない」

(福田和郎)

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